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花筐 [映画]

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■2017/12/31鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年112本目の邦画41本目。これが2017年の映画の見納め。

■誤解を恐れずに書くと、この数年で観た映画で一番心を揺さぶられた。映画の出来がではなくて、首根っこを捕まれ揺さぶられて脳幹に酸素が届かない、といった風な。巨匠・大林宣彦監督の「戦争三部作」(と言われている)の最終作、らしい。

■原作は檀一雄の同名小説。未読。かなり初期の作品だったらしい。檀一雄でピンとこない人は「女優:檀ふみの父親」と脳内置換して以降読んでください。檀ふみの出生時は檀一雄は43歳だったようなので、当時としては高齢出産なんだろうか(お父さんが産んだわけじゃないが)。

■1941年(昭和16年)、外交武官の息子として生まれた武彦(窪塚俊介)は、両親の赴任先のアムステルダムから大学予備校に入学するために帰国し、叔母・圭子(常盤貴子)の元に身を寄せる。そこで出会った同級生たちは、アポロ神のような肉体を誇る鵜飼(満島真之介))、虚無的だが思索が深い吉良(長塚圭史)、相手に調子を合わせる阿蘇(柄本時生)たちだった。

■彼らとの交流の中、従妹で肺病を患っている美那(矢作穂香)や、その同級生のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)との交流でいびつながらも青春を謳歌する。だが、彼らの前に太平洋戦争の開戦が忍び寄っていた。

■ネタバレはあまりしないつもりで続けるが、何が凄いって、当時の大学予備校の入学年齢は17歳。しかし主演の窪塚俊介は37歳、長塚圭史はなんと42歳。満島真之介は28歳、同じく柄本時生ですら28歳と、役者の年齢をガン無視したキャスティング。女優陣はそうでもないけど。それでも違和感をまったく感じさせない強引な演出は凄いな、と思った。

■演出は映像に関しても強引です。舞台が佐賀県唐津市なんだけど、どうも檀一雄の原作では特定はされてないらしいが、唐津市で全面ロケを行ったそうで。それはいいのだけど、ほぼ素の映像がなくて、大部分はCGで加工されている。一体何の為だ。画像処理が雑で時折柄本時生のメタルフレームの眼鏡が欠けてたりするぞ(笑)。

■わたくし最近の大林監督の『野のなななのか』や、『この夜の花ー長岡花火物語』の感想で、「監督の思想を登場人物の台詞に分けて喋らせて辛い」とか「反戦思想が映画表現としてこなれてない」とか批判はしてきたけど、今作も基本的には同じ。だけど熱量が前2作と比べてハンパない。

■これは、大林監督がクランクイン時に癌で余命3ヶ月と言われたことは凄く関係あるのかな。その後体に合う抗がん剤が見つかったらしく、最近は回復されて「あと30年は映画を撮る」と言われてるそうで。そこまで行ったらギネスブックの記録に載ります。

■上映館が少ないし上映時間も長いけど、心を揺さぶる映画です。可能ならばぜひ。劇中で繰り返し使われるバッハの『無伴奏チェロ』は、まさに甘美な呪詛。そこに溺れていきたいと思った。

■ああ、これで2017年分の映画の記録がやっと終わった。おまけ。この映画は2017年キネマ旬報の日本映画ベストテンの2位、なんだけど2018年の日本アカデミー賞からは漏れている。傑作なのに何で?と思ったが、日本アカデミー賞の選定基準では「2017/12/15までの公開映画」とある。今作の公開は「2017/12/16」。スタッフはプロの人ばかりなので知らないはずはない。だから分かっていてわざとシカトしたんだろうな。大林監督、カッコいいぜ。

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