So-net無料ブログ作成

あさが来た [ドラマ]

61ALUQSXM-L._SX404_BO1,204,203,200_.jpg

■2015年度下期の朝ドラです。観た映画に関しては、基本的に全部感想を書くようにしているのだけど、ドラマ、特にNHKの朝ドラについては、面白かったものしか書いてません。そういう前提でよろしくお願いします。なんと21世紀朝ドラの最高視聴率を記録したそうで、おめでとうございます。またある程度書き溜めてたので、長文失礼します。

■このドラマは朝ドラ史上初めて、明治維新以前の幕末が描かれる朝ドラ初の時代劇、ということで話題になった。放送開始時の2015年秋は、ちょうど大河ドラマ『花燃ゆ』が同時代を描いていたわりにあまり評判が良くなかったこともあり、「大河と朝ドラ入れ替えたほうがいいんじゃない?」みたいな声もありました。

■史実を踏まえたフィクションということですが、朝ドラの大部分はそんなもんです。2000年代はオリジナルが多かったみたいだけど、それが視聴率的に振るわなかったこともあったのか、ここ5年以内でのオリジナルは『梅ちゃん先生』『純と愛』『あまちゃん』『ごちそうさん』『まれ』と、最近は半々?です。こちらも作品によって視聴率のバラつきはあったようですが。

■明治時代の女性実業家・広岡浅子をモデルにした白岡あさ(波瑠)が主人公。京都の大手の両替屋「今井屋」の次女として生まれたあさは、幼いころに決められた大阪の両替屋「加野屋」の次男・白岡新次郎(玉木宏)の許に嫁ぐ。実家も嫁ぎ先も、あさには旧態依然の嫁として家を守ることを期待していただけだったが、商売の面白さに目覚めたあさは、義父・正吉(近藤正臣)の理解もあり、実業家として開花していく。

『あまちゃん』と違ってかなり史実に基づいているので、あらすじを延々と書くとそれで終わってしまうので止めておくが、今作がすごく良かったのは、キャストの良さとあまり破綻のない動的なストーリー展開だろう。

■主演の波瑠は、これまでに3回朝ドラのオーディションに落ちたそうだけど(『てっぱん』『純と愛』『あまちゃん』)、よく受からずに残ってくれたと。ドラマ好きのオレなんかには、すでに波瑠さんはそこそこ認知度のある女優さんなのだけど、特に、よくぞ『あまちゃん』に受からないでいてくれたと。変な話、波瑠の『あまちゃん』は想像できないし、能年玲奈の『あさが来た』はもっと想像できない。やはりピースは嵌まるべきところに嵌まるのだ。

■他の役者さんも素晴らしい人ばかり。新次郎役の玉木宏は、遊び人を装いつつあさを陰日向で助ける役を見事に演じていた。あさの経済の師である、実在の人物・五代友厚(ディーン・フジオカ)はイケメンだけど、正直それほど芝居は上手じゃないとは思った。が、劇中で亡くなったあとは「五代ロス」という言葉ができたりして(これ「あまロス」が発端だな)、演出の妙で味が出ていた。

■脇役も皆様素晴らしいので、ピックアップだけ。「加野屋」の中番頭・亀助(三宅弘城)と、「今井屋」からあさに付いて来た女中のうめ(友近)の演技が素晴らしかった。三宅弘城はTVドラマのバイプレイヤーとして活躍していて、かつ劇団「ナイロン100%」の看板俳優でもあるので、まあ当たり前といえば当たり前なのだが、女中のふゆ(清原果耶)と実年齢は親子ほど違うのにきちんと夫婦になった座りの良さはさすが。

■友近は、芸人ならではの空気を読んだ台詞のやり取りの良さはもちろんのこと、大番頭・雁助(山内圭哉)との恋愛やその他の機微を、台詞ではなくて顔の表情で表現し尽くしたところは凄い。実は友近のお笑いで笑ったことがあまりないので、愛媛の同郷としては失礼だけど、女優に専念されたほうが開花するのではないかとも思ってしまった。

■もちろん、もうひとりのヒロインであるあさの姉・はつ(宮崎あおい)も素晴らしかったし、あさだけの話ではなくて、群像劇になっていたのも良かったのではないかと。

■制作時期が重なってたはずなので、全て気にしていたわけではないだろうけど、この前の朝ドラ『まれ』の、主人公が行き当たりばったりだったり、エピソードを回収しきれなかったり、という失態をすごく意識していたのではないだろうか。『まれ』好きな人には申し訳ありません。

■という訳で、最近の朝ドラとしてはかなり好きな方ですが、オレ的にはやはり『あまちゃん』にはまだ及びません。意外感があまりないということもあるし。あと、後半で視聴率確保のためか、松坂慶子・高橋英樹・三宅裕司、そして大島優子などいかにもな俳優を投入したところがちょっとあざとい。『あまちゃん』は大物は橋幸夫くらいで、あとは勝地涼や三又又三とかの小ネタ的な投入しかしてなかったぞ。

■あと最後に。白岡あさのモデルは広岡浅子だけど、本人は波瑠よりバナナマンの日村に似ていたということは書き添えておく。

スクリーンショット 2016-04-06 5.32.37.png

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

THE FLASH [ドラマ]

The-Flash-key-art-16x9-1 (1).jpg

■ドラマの感想UPは久々。最近動画配信サービスが日本でも充実してきて、「Netflix」や「Amazonプライム・ビデオ」とかで、もうレンタルDVDは必要ないというくらいの環境になってきた。特に「Amazonプライム・ビデオ」は「Amazonプライム」の会員は無料なので、会員のオレは追加料金を払う必要がない。なので、(WOWOWにも加入してるし)そんなに動画配信サービスを沢山使っていても意味ないだろうということで断捨離を考えて、長年(でもないけど)使っていた「Hulu」を解約しようかなと思った。が、このドラマは現時点ではHuluのみの配信なので、とりあえず見てみようかと。90年代のビデオシリーズ(といっても2作)が面白かったので。そしたらハマりましたよ。全23話と2クールなので、1ヶ月ほどかけて先日見終えた次第です。

■幼い頃に母親を殺され、父はその犯人として刑務所に収監されているバリー・アレン(グラント・ガスティン)は、その事件を捜査していた刑事・ジョー(ジェシー・L・マーティン)に引き取られ、家族同様にジョーの娘・アイリス(キャンディス・パットン)と共に育ち、現在はセントラル・シティ警察の科学捜査官。

■その時、STARラボのウェルズ博士(トム・キャバナー)が粒子加速器の実験を行うがそれは失敗に終わり、バリーは雷撃を受けて意識不明に。半年後目覚めたバリーは超高速での移動能力を身につけていて「THE FLASH」となり、ウェルズ博士や部下のエンジニア・ケイトリン(ダニエル・パナベイカー)、シスコ(カルロス・バルデス)とチームとなって、バリーと同時期に発生した異能を持った「メタ・ヒューマン」などの市井の悪に立ち向かうことになる。

■漫画のようなSFドラマは面白い。というか、このドラマはもともとDCコミックス(「スーパーマン」や「バットマン」シリーズ)の漫画が原作だし。荒唐無稽な物語をいかにも科学的な考証がされているかのような雑なSF。こういうの大好き。まったく科学的な考証をしていないという訳ではないのだろうが、結構ご都合主義的なところもあるし。『ファンタスティック・フォー』と同じような匂いがする。VFXを使っているのになんだかチープな画像とか。90年代に大ハマリしていた『マックス・ヘッドルーム』にも似た感じ。

■そして面白いのは、フラッシュは超高速で動けるがそれ以外には特に強いわけではないので、敵はすぐに隙をついてくるが、ウェルズ博士、ケイトリン、シスコらの助けを借りたチームプレイで問題を解決する例がほとんど。最強のヒーローというわけではないところが楽しい。

■以下、若干のネタバレすいません。もっと凄いのが、ウェルズ博士はバリーを救ったし、STARラボの頼れる頭脳なのだけど、実はバリーの母親を殺した真犯人ということがシリーズ中盤で分かってくる。彼も高速移動能力を持つメタ・ヒューマン「リバース・フラッシュ」だったのだ。単なる勧善懲悪ものではなく、終盤まで話がどちらに転ぶかわからないスリリングな展開に緊張する。結局このドラマはシーズン2の制作が決定し、アメリカでは来年放送開始らしい。日本での配信はいつかは分からないけど。おまけに2018年の映画化まで決定しているらしいのだ。ただ、バリーのキャストは別らしいけど。何でかな。

■まあ海外ドラマにハマったのは『アリー My Love』以来(古いな)なので、Huluと契約している人にはお勧め。あとレンタルDVDもすでにあるらしいので。とは言っても、オレ自身はレンタルDVD店にとんと行かなくなってしまったが。

■おまけ。マーク・ハミルに最近モヤモヤしている件。『スター・ウォーズ フォースの覚醒』で大復活したマーク様だが、今年日本公開の『キングスマン』にもダメな大学教授の役で強い印象を残している。そしてこの『THE FLASH』にも悪役「トリックスター」でゲスト出演している。そしてなんと、90年代のビデオシリーズにも同じ「トリックスター」役で出演しているのだ。制作側は今のシリーズにもマーク様の起用を念頭に置いていたらしい。超高速で追うフラッシュをまくのに、路面に大量のビー玉を撒いて転ばせるという漫画のようなエピソードは笑ってしまったが。だから原作は漫画だっつーの。

■『フォースの覚醒』ではやっと最後のシーンで意味深な登場をしたマーク様だが、エピソード8以降の展開が楽しみ。

デート〜恋とはどんなものかしら〜 [ドラマ]

H6PmcxqoNe2Dgtq.jpg

■ドラマの感想連投。こちらも2015年1月クールでフジテレビで放送されていたドラマ。ドラマ好きのオレから見ても、フジのドラマってクオリティ高いと思う。が視聴率は振るわず、ゴールデンでテレビ東京の後塵を拝するという残念な現状。視聴率はわれわれ一般の視聴者には関係ないけど。テレビドラマ自体がいわゆる「オワコン」(この言葉嫌い)になってるのかと思うと背筋が寒くなる。

■まあいいや。このドラマを見た最大の理由は脚本が古沢良太さんだということ。『Always 三丁目の夕日』シリーズ、『寄生獣』、そしてドラマ『リーガルハイ』などなど、今オレが一番注目している脚本家と言ってもいいかな。

■ブランド価値が廃れつつあるフジの「月9」なのだけど、その枠にしては最大のチャレンジな話。大学卒業以降、母親(風吹ジュン)に養ってもらい、「高等遊民」と自称はしてるが実質はニートの巧(長谷川博己)が、母の体調の衰えを知り、「次に寄生できる人」(クズだなw)を結婚相談所で探し、東大卒の国家公務員のリケジョ・依子(杏)と出会ってからのドタバタの話。

■「月9」がキツイせいかどうかは知らないけど、かなり挑戦的な試み。まず巧に同情できる要素は当初はゼロ。しかも、毎回話にカセを課している。(前半だけだけど)毎回メインがデートの場面とか。あと必ずタイムシャッフルを使うとか。映画でのタイムシャッフルはよくある話なんだけど、テレビドラマではそれほど多用されない。なぜかと言うと流し見では分かりづらいから。

■これが最終的には王道の「月9」恋愛ドラマに収まってしまったのは本当に凄い。古沢良太さんと演出陣の力だろう。あと役者も。長谷川博己もすごく良かったが、主演の杏は過剰な台詞を喋らされるシーンが多かったのだけど、前半と後半で、気持ちの変化を表情だけで演じ切れたのは本当に凄い。われわれ素人は無責任に役者を大根扱いするけど、ちゃんと見ようよ、自戒を込めて。

■舞台設定が横浜というだけでもオレ的な評価は20%増し。加えて劇伴の狙いがドンピシャ。オープニングテーマはザ・ピーナッツの『ふりむかないで』で、エンディングテーマは60年代王道ポップスをバリバリ意識した、chay『あなたに恋をしてみました』。これは完璧。



■傑作。視聴率は知ったことじゃない。

問題のあるレストラン [ドラマ]

956b119f97d6f7cb57f0b3c725454050.jpg

■たまにドラマの感想を書きます。2015年1−3月に放送されていたドラマ。脚本は坂元裕二。主演は真木よう子と東出昌大。ざっくりあらすじを書くと、大手外食チェーンに勤めていた田中たま子(真木)は友人・五月(菊池亜希子)へのセクハラに対して報復に出て解雇され、仲間を募って表参道のビルの屋上にレストランをオープンする話。

■そこからのチームビルディングの話が面白い。たま子の同級生の鏡子(臼田あさ美)や、引きこもりだけど天才的な料理の腕を持つ千佳(松岡茉優)・・・全部書くと長くなろので省くけど、松岡茉優・二階堂ふみ・高畑充希の若手三人娘と、ゲイのパティシエ・ハイジ(安田顕)がすごくいい。

■対抗する男性俳優陣は、なぜか『あまちゃん』のキャストとのカブリが多く、セクハラ社長・雨木の杉本哲太を筆頭に、若手シェフの東出昌大、部長の吹越満など。悪いキャストではないのだけど、話と演出の方針が女性主体のため、どうも男性陣の影が薄い。特に見習いの菅田将暉など、ほぼ活かされていないという感じ。

■しかし坂元裕二が書く台詞は素晴らしく、時折深く胸に突き刺さる。『それでも、生きてゆく』の時も書いたけど、若い頃は台詞至上主義でストーリーをなおざりにしているように見えた坂元裕二も、ストーリーとの折り合いをきちんと考えているのは素晴らしい。女優陣の演技はほぼ凄かったのだけれど、松岡茉優の演技はその中でも出色。『あまちゃん』出身女優の中で一番大成するのはこの人かも。

■そのぶん残念だったのが出足。雨木が五月に対して行ったセクハラとは、大勢のいる会議室で全裸で謝罪をさせるということ。好意的に考えると、「性的暴力」ではありきたりな話になってしまうのでこういう話になったとも思えるけど、現実的にありえないことなので結構ドン引きした。それ以外のセクハラの描写も、バブル期に新卒だったオレでもあまり見たことがないような極端な表現が多い。もちろん、当時はセクハラに対するモラルが今より低かったのは否定できないけど。

■全体的にはいいドラマだったと思うのでそこが少し残念。あと残念なのがYOUと主題歌のきゃりーぱみゅぱみゅ。きゃりーは生理的に苦手なのと、YOUさん、もうドラマには出なくてバラエティだけにしてください。キャスティングの意味が分からない。

カーネーション [ドラマ]

201110251829462a3.jpg

■2011年度下半期に放送されていたNHKの連続テレビ小説。わたくしの初見は2014年度上半期のBS再放送。

■連続テレビ小説の感想エントリとしては、『あまちゃん』『ちりとてちん』に次ぐ3本目。再放送ですらもう4ヶ月前に終わったドラマなのだけど、なんで今更書こうと思い立ったかというと、現状の朝ドラと以前の再放送(『マッサン』と『梅ちゃん先生』)は見てるけど特に書くつもりはない。次の朝ドラ『まれ』はおそらく見るけど、再放送は既に死ぬほどブログに書いた『あまちゃん』。だったら印象に残ったこの作品について書いておこうかなと。

■見た人は知ってると思うけど、これは世界的ファッションデザイナーのコシノ三姉妹を育てた、小篠綾子をモデルにしたフィクションです。系統としてはちょうど今やってる『マッサン』に似た感じかな。フィクションなのにベースの実話にある程度忠実であるというところあたりが。

■話は大雑把に言うと、大正時代に呉服屋に生まれた主人公・小原糸子(尾野真千子)が父親(小林薫)に洋裁屋と認められるべく頑張るパートと、自分が主になってからそれぞれ才能のある三人の娘(新山千春・川崎亜沙美・安田美沙子)を育て彼女たちが成長していくまでのパート、そして老境に差し掛かった糸子が仕事をこなしつつ世を去るまで、という三部構成という感じです。いや雑すぎるな。

■各々のエピソードで印象に残る男性は出てくる。父・善作(小林薫)、戦死した糸子の夫・勝(駿河太郎)、不倫相手の周防(綾野剛)、横恋慕を入れる北村(ほっしゃん。)などなど。強烈な印象を残した俳優さんはもちろんいるけど、当時の世相とは真逆で、基本的に全員女性の添え物という扱いと言ってもいいと思う。糸子の幼馴染の太郎(尾上寛之)など、糸子の好意で片恋慕した踊り子(黒谷友香)に鉢合わせさせられ精神を損ない、挙句の果てに再度召集されて戦死するという、朝ドラらしくないヘビーなエピソードだったりする。でも最終的には糸子と昔からのライバル(?)奈津(栗山千明)との関係で幕引きになるっていうのもいい。

■どこまでフィクションなのかは分からないけど、これは脚本の渡辺あやさんが女性、という理由もあるのかなと妄想したりする。おそらく男性にはこんな脚本は書けないと思う。椎名林檎の同名主題歌も強烈にいいし。でもそんなつまらないジェンダー論は置いといて、「やりたいことをやるためにはノイズを恐れず出来る限りの事はする」みたいなことを提示したドラマだと思う。文句なく傑作です。それに、渡辺あやさんは、その後男目線で書いた『ロング・グッドバイ』というドラマでも成果を残しておられる。

■おまけ。このドラマも登場人物がやたら多くて『あまちゃん』と匹敵するくらい。が、『あまちゃん』の劇中の時間軸はほぼ4年なのに、『カーネーション』は80年超えなので比較にならないかな。見たことない人は、ぜひ『あまちゃん』も4月から見てください。


昨夜のカレー、明日のパン [ドラマ]

o0720043813034163685.jpg

■2014年10月期にNHKBSで放送されていたドラマ。原作小説・脚本は木皿泉さん。木皿泉さんの連ドラって『Q10』以来じゃないか? TBSの『おやじの背中』で単発は書いてたけど。木皿ファンとしては垂涎ものである。オレは木皿泉さんの脚本が大好きで、『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』は全部見てるくらいのマニアでございます。以前も書いたけど、「木皿泉」のペンネームは夫婦のユニットであり、旦那さんは脳出血発症後身体が不自由で、奥様がそれをサポートされてるらしい。それも寡作の理由のひとつかな。

■若くして一樹(星野源)と結婚したが早世され、今はギフ(鹿賀丈史)と同居しつつOLをやっているテツコ(仲里依紗)とその周りの人々の一見奇妙な物語。まあ、ファンタジーと言っていいかも。夫が亡くなった後、子供もいないのにずっと夫の実家に義父と住み続けるって、現実的にはゼロとは言えないけど、そうそうないだろう。

■その周辺の人々が面白い。隣家の小田和正(笑:小倉一郎)&みゆき(筒井真理子)の夫婦と、その娘で元CAなんだけど、笑うことができなくなり職を辞してしまったムムム(ミムラ)。テツコの職場の同僚で、テツコと交際はしてるが、テツコに再婚の意志がないと断られている岩井さん(溝端淳平)。テツコの後輩であること無いこと言いふらすギダリエ(小野ゆり子:大森南朋の奥様)。などなど。あとはギフの義妹の朝子(片桐はいり)と姉のギフの亡妻(美保純)。

■他のキャストも含めて、よくまあこんな芝居巧者を集められたもんだ。話には毎回小さなエピソードがあるけど、基本的には一樹の記憶にとらわれていたテツコが、岩井さんとの再婚に少しずつ向かっていく話。その他もムムムの再生とか、みんなが何とかして生きていこう、ともかく生きていくことが大事だということを、押し付けがましくなく示した話。生死の境をさまよった木皿さんご夫婦だからこそ書けるのかな、という。実はテーマは結構重い。

■そして役者陣の演技と演出が素晴らしい。例えて言えば、水彩画に少しずつ色を足して画を完成させていくような繊細な演技と演出。特に、死者の役なので出番はそう多くはない星野源がすごく良かった。

■もう毎回号泣で(加齢って言うなよ)。主題歌が、亡き人を偲ぶプリプリの『M』っていうのもすごく合ってる。是非見て欲しいが放送終了なので、慣例だとそのうちNHKの地上波で放送されると思うけど、待ちきれない人にはNHKオンデマンドしかない。でも、たくさんの人に見て欲しいドラマだと思います。


ちりとてちん [ドラマ]

41Hoo94EXBL.jpg

■NHKの連続テレビ小説で、2007年10月1日〜2008年3月29日の放送。つまり6年前のドラマの話です。何でそんな昔のドラマを今更という話もあるかと思いますが、オレが作品に接したのが2013年秋の再放送以降だということです。まあ、たまに書く昔のドラマ・映画の話ということでお付き合いください(ちりとて風)。

■見たことのない方には分かってもらえないと思うのであらすじを長くならない程度に若干。もともと小浜(福井県)の若狭塗箸職人の和田正太郎(米倉斉加年)の息子として育った正典(松重豊:『孤独のグルメ』のファンの方は笑わないように)が、妻の糸子(和久井映見)と娘の喜代美(貫地谷しほり)と息子の正平(橋本淳)を連れて家業を継ぐべく帰省してくる。

■やばい。あらすじが長くなりそう。正太郎が正典を後継者として明言する前に正太郎は亡くなる。そして喜代美は、転入先の小学校で同姓同名の和田清海(佐藤めぐみ)に遭遇し、容姿も性格も優っている清海と比べて「B子」(清海は「A子」)と呼ばれるようになり、それが喜代美のコンプレックスにつながることになる。

■そして祖母(江波杏子)が三味線の師匠をしてるのに、高校の文化祭で自分が舞台に出ることを自ら断った喜代美は、推薦で決まっていた地元の短大を辞退し単身で大阪に出てくる。いやすげえ展開だな。小浜と大阪はそんなに遠くはないのだけど。

■偶然で寄宿先になった(当時は)もと落語家、徒然亭草若(渡瀬恒彦)と、内弟子で居候を続けている草々(青木崇高)との出会いで、喜代美(落語家で襲名してからの名前は若狭)の人生は大きく変わっていく。

■まあとっくの昔に本放送が終わったドラマなので、今更ネタバレに気をつけても仕方がないことだとは思いますが。このドラマは大阪放送局制作で、当時の最低視聴率を記録したドラマということらしいけど、なんでこんなに面白いドラマがそういう結果になったのか。今考えると少し分かる。このドラマは「落語」「塗箸」という古典芸能の継承が大きなテーマのひとつなんだけど、話の流れ(と演出)がすごくサブカルっぽくて、ちょっと当時の朝ドラの視聴者にはついていけなかったのかもと。

■以降、このドラマについて書く上で避けては通れない、とオレが勝手に思っているクドカン脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』(2005年)『あまちゃん』(2013年)について触れる。特に『あまちゃん』については「後出しジャンケン」と思われないよう留意するつもり。

■落語を題材にし、なおかつストーリーの展開上それぞれの落語が話のキーとなり、かつドラマの登場人物が劇中劇で落語の中の登場人物を演じるような話は、メジャーなドラマとしては『タイガー&ドラゴン』が初めてではなかったかと思う。ただ浅学なので、間違っていたらご教示ください。

■発表年が後なので、このドラマが『タイガー&ドラゴン』の影響を受けてなかったとは考えにくい。ただ、『タイガー&ドラゴン』では話の組み立てのひとつとして落語を扱っていたように見えた点と違い、『ちりとてちん』は落語に対する愛着が強く感じられたように思えた。実際、『タイガー&ドラゴン』ではレギュラーの現役落語家は笑福亭鶴瓶と春風亭昇太のみだが、『ちりとてちん』では徒然亭草原役の桂吉弥を始めとして、不定期の登場ながら現役落語家さんの登場が多かった。まあどちらも、落語人口を増やしたという点では視聴率以上に貢献したのではないか。どちらの作品も視聴率的には大したことなかったのであるが。

■このドラマでの役者さんたちの演技も素晴らしい。貫地谷しほりは言うまでもないが、渡瀬恒彦、そして、出番としては割合最初のほうで死んでしまう米倉斉加年がすごくドラマを締めている。和久井映見、江波杏子もそう。そして若狭の兄弟子たち(桂吉弥、青木崇高、茂山宗彦、加藤虎ノ介)がすごくいい。桂吉弥と茂山宗彦は本業が違うので別として、青木崇高と加藤虎ノ介はその後ドラマでの存在感を沢山出せるようになったと思う。それ以外も素晴らしい役者さんばかり。

■『あまちゃん』との絡み。『ちりとてちん』は大阪放送局制作だけど、『あまちゃん』は東京放送局制作。でもスタッフには共通点があり、『あまちゃん』のチーフDの井上剛は『ちりとてちん』のDのひとりだし、同じく『あまちゃん』のPの菓子浩も今作のDのひとり。人的なつながりという理由だけではないけど、類似点が多々ある。ヒロインが当初ダメダメなところ(まあ、喜代美は成長したけどアキは成長してないか:笑)や、クライマックスで手作りの舞台がメインステージになるところ(「ひぐらし亭」と「海女カフェ」)。リアル芸能人の五木ひろしと橋幸夫の登場。そしてひぐらし亭建設の折に糸子が喜代美に送ってきた大漁旗!・・・アキが上京するのを見送る夏ばっぱが振ったのも大漁旗。ここまで繋がると偶然とは思えないよね。

■いいドラマでした。正直、照れ屋のクドカンは泣かすのが下手なので『あまちゃん』以上に泣いたかも知れない(加齢の話はするな)。ただ再放送だったので、当たり前だが話のオチが分かっていてドキドキできなかったのが残念。まあ、オレが6年遅かっただけですよね。

■なお、若干『あまちゃん』褒めに寄ってるかもしれませんが、収録当時ほぼ同世代(20歳前後)だった貫地谷しほりと能年玲奈について、当時の演技力では貫地谷ちゃんが頭2つぐらい上だということは断固として言っておこう。

■NHKの制作陣、素晴らしいドラマを有難うございました。んで朝ドラは卒業するつもりでしたが、この枠の後の『カーネーション』の再放送は未見で、一部友人から「絶対見ろ!」と言われてるので見るかもね。

■しかし最終回で渡辺直美が出たのは(ノンクレジットだけど絶対そう)、「底抜けに」たまげました(笑)。と思ったら、知人の方の話では、方言指導の先生で別人なんだとか。それにしても似てる。

恋がしたい恋がしたい恋がしたい [ドラマ]

51HG0W3YSPL._SL500_AA300_.jpg

■昔の映画・ドラマの感想UP。本放送は2001年、っていうか13年前かよ。制作はTBSで脚本は今をときめく遊川和彦さん。このドラマ、再放送時に録画はしてたのだが、再放送は枠の関係もあってカット部分が結構ある。なので完全版をhuluで久々に見た。最近配信元にTBSが加わってから、結構おいしいドラマを配信している。戦略的なんだろうが「SPEC」のドラマや映画の近いやつを配信したりして。まあ、ジャニーズが出てるドラマはTBSにかぎらず全く配信されてないけどね。

■しかし各放送局がやってるオンデマンド配信って、バカじゃねえの? 一話315円とかいう価格設定とかね。単価が高すぎるし、特にDVDの売上も見込めない過去のドラマも同じ価格設定って、経営感覚がおかしいと思う。だったらロイヤリティは下がるけどhuluみたいなところで配信するほうが、きちんとキャッシュが入ってくるんじゃない? だいたいとっくに減価償却してる訳だし。TBS(も完全じゃないけど)の他にも他局が追随してくれることを熱望。

■前置きが長くなりました。簡単に言うと片思いばっかりの群像劇です。メインキャラクターの7人がすべて存在感を出してる。渡部篤郎・水野美紀・菅野美穂・岡江久美子・及川光博・山田孝之・所ジョージ。山田孝之はこのあと10年くらい高校生役をすることになるのだが、この時はリアル高校生だった(笑)。女子校教師の渡部に、ホテル従業員の菅野美穂が一目惚れするところから話は始まる。

■遊川さんの脚本の特徴としては、破天荒なストーリーテリングとダイアローグ(台詞)のリアリティのアンマッチ、っていうかマッチしてるか。「家政婦のミタ」もそうだったし、途中で脱落したが「純と愛」もそうだったらしい。これは本作にも遺憾なく発揮されてる。菅野美穂が渡部篤郎を好き過ぎて空き家に潜入するとか、最後に余命いくばくもない菅野の母(白川由美)の前で渡部に告白するとかもうメチャクチャです。

■でも、登場人物の台詞がありえないくらい素敵。一番は渡部篤郎の、

「だから、今は苦しくても歯を食いしばっていこう。僕たちの人生に、もうこれ以上いいことが起きないなんて、誰にも言わせたくないから」

かな。登場人物のすべてが愛おしい。一般的には遊川さんの最高傑作は「家政婦のミタ」なんだろうけど、オレ的にはこの作品がベストです。

■このドラマのあとひとつの功績。主題歌のカーペンターズ「Reinbow Connection」と挿入歌の「Leave Yesterday Behind」は当時未発表曲で、このドラマがなければ世に出なかったかも。ともに名曲です。

■という訳で是非見て欲しいドラマなのですが、レンタルDVDとhuluしかチャネルがないことが残念です。


あまちゃん:特別篇@2013紅白歌合戦 [ドラマ]

et-nt-20140101-4-ns-big.jpg

■もう「あまちゃん」関連のエントリは止めようと思ってたのだけど、新しいコンテンツが出てきたら致し方ない。これで終わりにしたいとは思うし、近い将来の続編はないと思うのでこれで一応終わりです。

■本編終了後から、続編やスペシャル、スピンオフの期待は高まってたし、主演の能年玲奈やNHKの経営陣の希望もあった。しかし脚本の宮藤官九郎が「終わり」と明言してることもありその可能性は低く、せめて年末の紅白で何か、っていうのがたぶん発端だったんだと思う。

■以下全部メディアの報道とオレの憶測ね。「あまちゃん」効果で売れっ子になってしまった各出演者のスケジュールの調整がメチャクチャ厳しく、直前まで企画は発表されない状態になってしまった。唯一、能年玲奈が紅白PR大使になると発表されただけ。

■こっから先がNHKスタッフの底力。直近になって「あまちゃん:特別篇」が紅白の中で演じられることが明らかになり、能年玲奈やGMT、アメ横女学園が「暦の上ではディセンバー」を歌うことが発表された。それ以外の詳細については、NHKの公式発表は依然ないまま。

■結果、ご覧になった方はご存知の通り、本編の続編+ライブという構成の、第157回「おら、紅白に出るだ」という、ほぼ15分(ちゃんと計ったわけじゃないけど)のコーナー構成になった。

■「あまちゃん」に頼り過ぎとか視聴率狙いとか、そういうノイズはいろいろあるようだけど、そんなことは全くどうでもいい。面白かったし感動したしまたちょっと泣いたもの。今までの紅白の枠内の寸劇で面白かったことなんて今まで皆無だったし、ヘタな紙芝居見てる感じだったでしょ?

■以下は邪推。最近のTV番組の視聴率は「AKBグループ」「EXILE」「ジャニーズ」に頼らざるを得ないのが現状だけど、「あまちゃん」についてはほぼ頼ってない。まあ、エッセンスとかで頼ったところは多少あると思うけど、出演者についてはゼロだ。なので、紅白の「あまちゃん:特別篇」は、NHKのスタッフの、オリジナルのコンテンツでもここまで出来るんだ、っていう意思の表示かも、と思った。

■でも、クドカン自らこのコーナーの脚本を手がけ、演出陣もそれにフルで応えた。ライブのシーン、能年玲奈+橋本愛→小泉今日子→薬師丸ひろ子の「潮騒のメモリー」リレーは泣けたし。キャストもほぼフルで。特筆すべきは、GMTのメンバー(松岡茉優、大野いと、山下リオ、蔵下穂波)。能年玲奈+橋本愛は言うまでもないけど、みんなアイドルではなくて女優が本業なのに、紅白という大舞台でもまったく臆することなく堂々と歌って踊ってた。すごい舞台度胸。

■そして、小泉今日子と薬師丸ひろ子は、当日訃報が伝わった大滝詠一さんチルドレンであり、オマージュにも取れなくはない。小泉今日子は「快盗ルビィ」、薬師丸ひろ子は「探偵物語」「すこしだけやさしく」。薬師丸ひろ子は歌いながら涙目のようにも見えた。それは大滝詠一さんへの涙だったのかどうか、は分からないけど。

■劇伴担当の大友良英さんのブログに一番詳細な話が書かれてます。

■最後に。本編の中では、東京に行くこともアイドルになることも叶わなかったユイちゃん(橋本愛)が、この特別編で東京に来れて紅白の舞台に立てた(メタフィクションだね)ということは、クドカンと演出陣が未だ続編を待ち焦がれる視聴者に対する強烈なメッセージだと思う。

■「おしまい。このあとは絶対にない」っていうね。でも、この画には敵わねえ。

IMG_1088.jpg

リーガルハイ [ドラマ]

regalhigh0.jpg

■んと、年越しの前にこのドラマの感想を上げるのを忘れてた。このドラマ、2012年のシーズン1から大好きなのだ。「詭弁」を体現したような無敗の弁護士、古美門研介(堺雅人)。そこに正義感は強いが当初はあまり使えない弁護士黛真知子(新垣結衣)が彼の事務所に入ってくるところから話は始まる。

■脚本は今オレが一番注目してる古沢良太さん。「Always 三丁目の夕日」で日本アカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞してるくらいの実力派。でも、「Always 三丁目の夕日」ではベタなんだけど、今シリーズでは非常にシニカル。で古沢さんは幅広いので、今までオレがブログに書いた「探偵はBARにいる」「少年H」そして舞台では「趣味の部屋」とかね。ちょいマニア的な感じでチェックしてます。

■詭弁を駆使して古美門がライバル(シーズン1では生瀬勝久、シーズン2では岡田将生)を叩き潰すという話です。基本の話はシンプルなんだけど、扱ってる題材がディープ。特筆すべきはシーズン1の9話からの流れ。工場が出来たことによる公害に長野の現地住民が立ち向かうって話なんだけど、明らかに原発事故の話を扱っている。

■話の構成がとにかく面白い。日本人はどうも偽悪的なヒーロー話が好きなようだが、このドラマもその線に乗っている。裁判に勝って大金を得るためならどんな手段も辞さない古美門だが、実は根底に熱いものを持っている。それが黛という触媒に接することによって時折明らかになっていく。

■でも一筋縄では行かなくて、話のオチが、これでもかというくらい大体くだらない。シーズン1のオチは古美門と三木(生瀬)の長年の因縁の原因がハムスターだったとか、シーズン2では羽生(岡田)が想いを寄せていたのは黛ではなく古美門だったというまさかのホモネタオチとかね。脱力します。

■主演の堺雅人は今年は大活躍だった。「半沢直樹」もそうだし。ちなみに「半沢」よりこちらのドラマのほうがオレは好きです。しかしこのドラマは脚本の古沢良太の力量によるところが大。来年も注目します。もちろん「リーガルハイ」第3期も。

メッセージを送る