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王様のためのホログラム [映画]

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■レイトショーにて2017/2/15鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年12本目の洋画10本目。

■トム・ハンクスもたくさん作品を観ている俳優のひとり。ただ、大ファンというわけでもないので、全作品をカバーしている訳でもなく、観たいと思った作品限定。今作は予告編が面白そうだったので。

■大手自転車メーカーの役員だったアラン(トム・ハンクス)は業績悪化の責任を取らされ会社をクビになり、妻とも離婚し持ち家も娘の養育費のために売却してしまい一文無しになる。残ったのは生産ラインの海外移転のために現地従業員を大勢解雇した苦い思い出。トランプ大統領が喜びそうな話である。

■やっとの思いでIT企業に再就職したアランに与えられたミッションは、サウジアラビア王国に3Dホログラムを使った遠隔会議システムを売り込むこと。現地に着いてみるとオフィスはボロテントで冷房もなく、WiFiもつながらない。しかも王国側の担当者にはなかなか会えないし、国王と面会できる見通しも立たない。手詰まりのアランの背中にはなぜかコブのようなものができて(砂漠だからじゃないだろうな?)その治療で現地の女医サリタ(ザーラ・ハキム)と知り合うが。

■いつものトム・ハンクス作品のような大作ではなく、さほど予算もかかってないような印象。でも予告編では結構ほっこりするような話だと思っていたのだけど、今回も予告編マジックに騙されました。サウジアラビアの現地ネタとか、細かく笑えるエピソードはいくつかあるのだけど、そのエピソードが有機的につながってなくて着地点もよく分からなかった。

■まあ、そんなにひどい映画でもないので、トム・ハンクスのファンの方はどうぞ。

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マリアンヌ [映画]

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■2017/2/12鑑賞@109シネマズ川崎。今年11本目の洋画9本目。

■何だかんだ言ってブラピ出演の映画は結構観ているオレ。この人は必ずしも主演に拘っている訳ではなく、作品の内容に応じて脇役もこなし、かつ制作にも関わったりという柔軟ぶりが魅力のひとつだろう。

■第2時大戦中の1942年。カナダ人だがイギリス軍のスパイ・マックス(ブラッド・ピット)は任務を帯びてカサブランカに向かう。そこでフランス・レジスタンスのスパイ・マリアンヌ(マリオン・コティヤール)と合流し、偽装の夫婦としてドイツ人のコミュニティに潜入し、ついにはナチスドイツの大使の暗殺に成功する。偽装夫婦を演じている中で二人の愛情は本物になる。

■ロンドンに帰任したマックスとマリアンヌは結婚し、一女をもうける。ある時マックスは上官から呼び出しを受け、マリアンヌに、ナチスドイツとの二重スパイとの嫌疑がかけられていることを知り取り乱す。上官はマックスに、マリアンヌに罠を掛けその結果二重スパイであることが判明した場合、自らの手で殺すよう命令する。マリアンヌを信じたいマックスは思い悩み、軍規から逸脱しても彼女の無実を証明しようと奔走するが。

■長いこと無精髭でワイルドなブラピしか見てなかったが、今回は珍しく、髪をきちんと整えた本格派の二枚目。若い、っていうかとても俺と同い年とは思えない。なおこの点に関して「お前とブラピの共通点は人間であることと年齢だけだ」とかの苦情は一切受け付けておりません。

■巨匠、ロバート・ゼメキスは今回も非常に丁寧に映画を作っており、ロケ地の選択も正しく、美術的にもほとんど瑕疵はない。主演二人の演技もそれに答えているが、何だか物足りない。すべてが綺麗にまとまりすぎていて、破綻が一切見られないというところが逆に物足りないのです。悲恋物語(言っちゃった)であるがゆえかも。

■悪い映画ではもちろんないですが、そういうわけで強くお薦めはしません。あと原題が『Allied』(同盟国の、とか同盟の、などの意味。日本語では名詞形の「アライアンス」の方が通じやすい)なので、邦題の『マリアンヌ』はやむなしか。

■あと、この映画の撮影でブラピとマリオン・コティヤールが親密になったのがブラピとアンジェリーナ・ジョリーの離婚のきっかけになった、という話は本当だろうか?

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サバイバルファミリー [映画]

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■2017/2/11鑑賞@チネチッタ。今年10本目の邦画2本目。

■都内に暮らす鈴木一家。冴えないサラリーマンの父・義之(小日向文世)と天然の妻・光恵(深津絵里)。そして無口な大学生の長男・賢司(泉澤祐希)とその妹でスマホ全能主義の結衣(葵わかな)。ある日突然首都圏の電力が途絶えてしまった上、バッテリーなどの蓄電機能もすべて無効になる。首都圏限定なのか日本全体なのかは、情報がまったく入ってこないので分からない。一週間経っても状況は改善しないので、鈴木家は光恵の父・重臣(柄本明)が住む鹿児島に向かって自転車で移動を始める。

■矢口史靖監督の発想が奇抜なのは毎度のことだけど、今作のようなSF的展開に向かうとは思ってなかった。この映画の宣伝でもそうなんだけど、代表作が『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』と初期の作品のまま固定で、寡作だけど必ずヒットさせる監督への扱いが失礼だよなと思いつつ、いち観客としての印象がそうなってしまっているのは受け入れざるを得ない。

■高速道路を自転車で走ったりとか、極力CGを使わないことで、今までの矢口監督作品史上おそらく最大の制作費と思われる。威張るだけで全く役に立たない義之や、他の家族がだんだんタフになっているところをコミカルに描いているところは矢口節。途中で出会うアウトドアに長けた斉藤夫妻(時任三郎・藤原紀香)とその息子たちに屈辱感を覚えるところも結構おかしい。そして年の割に母親役の印象があまりない深津絵里も新鮮。

■悪くないんだけどあまり褒められないところも。話が一本調子だし、今までの矢口監督作と比較して笑えるシーンが多くない。もちろん矢口監督は311を下敷きにした話をわざとやっていると思うが、我々矢口監督ファンの望む方向と映画がズレていくのは仕方がないのかな。

■以下ネタバレですのでご注意ください。

■停電は世界中で起きていて自然現象が原因だった。2年後に世界中の電力は回復し、鈴木一家も日常に戻っていくのだが、世界中で2年も電力供給がない状態で日常にすんなり戻っていくのは、普通に考えてありえない。もちろん電力供給がない状態での家族の奮闘がメインだとは思うけど、あまりにまとめ方が雑である。もう少し工夫してほしかったな。

■そこそこ面白いけど、今作でもやはり『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』超えはならなかったか。

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お勢登場@シアタートラム [舞台]

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■2017/2/11鑑賞。今年の舞台2本目。今のところ次の予定はない。

■気鋭の劇作家・倉持裕さんの新作舞台。舞台を観に行くと必ず入り口で貰う大量のチラシによると、この後も今年3本新作の上演予定があるようです。売れっ子ですね。とか言ってるが実は初見。脚本を務めた、嵐のニノが主演の日テレのドラマは見たことがあるという程度。

■もちろんお目当ては主演の黒木華。劇場は三軒茶屋のシアタートラムで初訪問。隣の世田谷パブリックシアターにはたびたび来ているのだが、こちらも小さめの小屋だけど、座席のどの辺からも舞台がよく見えそうな良さ気な劇場である。

■原作は江戸川乱歩の『お勢登場』を中心とした短編8作を1本の話として再構成したもの。連作短編ではないので、きちんと話全体の整合性が取れているわけではないが、それが不条理さを生み出す副次的な効果になっていて、なんとも味わい深い話になっている。全編を通して登場する悪女・お勢を演じる黒木華以外の、片桐はいり、梶原善や、その他の初見の俳優さんたちは一人何役もこなしている。

■ちなみにわたくし、江戸川乱歩の小説は小学生の頃の『少年探偵団』シリーズ以来なのですべての短編は未読。でもそういう人、結構多いんじゃないかな。

■今回は人も殺してしまう悪女の、黒木華の魅力がまたもや眩しい。やはり舞台は彼女にとって最大のパフォーマンスを発揮できる場所なんだろうな、と改めて思う。片桐はいりや梶原善も、手練れの役者ぶりを遺憾なく発揮している。ただ、二日目の上演だったので練習不足だったのか、それ以外の役者さんが、噛んだり台詞をとちったりするのが結構気にはなった。ちょっとイチャモンつけ過ぎかな。

■まあ、やはり舞台経験のある役者さんの演技は信頼に足る、というのを再確認した舞台でした。できれば今年はあと2つくらい行こうっと。今作はそうでもなかったがチケ代高いけどね。

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ザ・コンサルタント [映画]

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■2017/2/4鑑賞@チネチッタ。今年9本目の洋画8本目。

■勉、じゃなくてベン・アフレック(すいません『あまちゃん』ネタです)の出演映画にはほぼハズレがないというのは、この近年映画を大量に観ているわたくしの感想。でも昨年公開されたDCの『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は話が長すぎるしダレててちょっといただけなかったけどね。表向きはカタギの会計士で夜は闇社会のスナイパー、という二面性は結構よく使われている話なんだけど、さてさて。

■田舎町の会計士、クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は実は裏社会にも通じる男だった。「高機能自閉症」(初めて聞いたが実際にある病名らしい)のウルフは、軍人の父親が担当医の薦めも拒絶して軍事的訓練を叩き込む。そして生まれたのは高い知力を持ちながら戦闘能力に長けたモンスターだった。二面性というより、変な人がたまたま会計士をやってたという感じ。昼の仕事で、大企業の監査を頼まれたウルフは会計の欺瞞を見抜くが、そこで見えない敵から襲われそうになる。

■雑にも思えるが結構面白い。ネタバレは避けますが、アクションシーンと謎解きで面白ポイント満載。単なる二面性の話ではなくて、登場人物のそれぞれが少しずつおかしいし、エンドロールに至っていろいろ仕掛けられた謎が解けるという構成に拍手。

■可能であればぜひ観て欲しいんだけど、遅筆でこの映画あまりヒットしてないので、書いてる時点で公開館がかなり少なくて大変申し訳ございません。でもやっぱり、ベン・アフレックの出演映画にはほぼハズレなし、です。

■ただ邦題が。原題は『The Accountant』で、直訳もなにも会計士なんだけど「コンサルタント」っていうのとはちと違う。確かに会計士はコンサル的な業務も多いんだけど、単に「アカウンタント」という横文字が日本ではまだ馴染んでないので無理に逃げたかなと。だったら邦題は「会計士」とかにしたほうが良かったんじゃないか、とぼやいてみます。

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マグニフィセント・セブン [映画]

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■2017/2/4鑑賞@109シネマズ川崎。今年8本目の洋画7本目。

■原案が黒澤明の『七人の侍』とそれをハリウッドで翻案した『荒野の七人』というのが売りの映画。ま、この映画のタイトルそのものが『荒野の七人』の原題『The Magnificent Seven』そのまんまなので、そのリメイクと考えたほうがいいだろう。「Magnificent」というのは「崇高な」とか「素晴らしい」などの複数の意味があるのだが(ビジネス英語ではあまり見かけない)、日本の配給会社はいまさら「荒野の七人」という訳にもいかず、原題をそのままタイトルにしてしまった。それは正解。苦し紛れで変な邦題を付けて観客に変な予断をさせるより全然まし。

■ローズ・クリークの町の住人たちは苦労してここを開拓してきた人間が大部分。ある時近くの山で金鉱が見つかり、そこを独占しようと進出してきた悪徳業者ボーグ(ピーター・サースガード)とその手下は実力行使で町の住人に立ち退きを迫っていた。たまたま通りかかりいざこざを処理した賞金稼ぎの執行官、サム・チザム(デンゼル・ワシントン)に、ボーグに夫を殺されたアナ(ヘイリー・ベネット)は助けを求める。しかしサム一人では立ち向かうのが難しいので、サムは各所を周りクセはあるが手練れの7人を揃える。

■原案とされる二作をさらに単純にした勧善懲悪のストーリー。それはそれでいいと思う。また、デンゼル・ワシントンに若干飽き気味ではあるが、主人公が黒人で仲間に東洋人のビリー(イ・ビョンホン:もはやハリウッドの常連)がいたり、メキシコ人のガスケスがいるところとか、いかにも今のアメリカ風である。ただ最近大統領になったトランプさんは時間軸を逆に戻したいらしいけどね。

■名のある俳優さんばかりで、彼らの出演作を辿ると文章が長くなってしまうので割愛するが、シンプルに面白い映画でした。ただ、ヘイリー・ベネットはどっかで見たことあるなと思ったら、『ガール・オン・ザ・トレイン』にメガン役で出ていた女優さんでした。今作ではそういうシーンはなかったのだけど、何かエロい。

■ガンアクションって久しぶり。世界的な風潮かも知れないし、特に日本では一般市民の銃の所持が合法だった時はないので仕方ないかも知れないが。でも、個人的にはガンアクションって結構好きです。ガンアクションの映画ではないが、『レイダーズ 失われたアーク』でインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)が中東で大鉈を振り回す敵に向かい、困った顔をして銃一発で片付けたシーンとかすごく好き。オレにはのび太テイストがあるのかも知れない。

■蛇足ですが、『ドラえもん』の、のび太は日常社会では勉強も運動もダメな小学生だけど、なぜかガンマンの才能があり、開拓期の西部にタイムトラベルした時にその能力を発揮するという設定です。あ、ご存知ですよね。申し訳ありません。

■『七人の侍』『荒野の七人』から辿ると、映画マニアの方々は「どうかな」という意見ももちろんあると思うけど、単純な娯楽映画としてはすごく楽しかったので、結構お薦めです。ただアメリカでの興収は制作費とほぼ同額だったらしいので(まあコケたんだよな)、日本では事前の宣伝を多く打てなかったらしい。南無。

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スノーデン [映画]

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■2017/1/29鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年7本目の洋画6本目。

■ほんの数年前に世界を騒がせた元CIA・NSAの局員、エドワード・スノーデンの実話がベースの映画。監督は巨匠、オリバー・ストーン。当時は断片的な情報だけが入ってきていたので、スノーデンが主張するアメリカの諜報活動がどこまで真実なのかは結構眉唾な印象があったのだけど、映画として提示されるとさてどうかなと。

■愛国心の強い青年、エドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)は911の影響で、国の役に立ちたいと思い軍に志願するが、過酷な訓練で怪我をして除隊せざるを得なくなってしまう。次の進路として、スノーデンはCIAの試験に合格し、サイバー・セキュリティ・エンジニアとして頭角を現し、重要な任務に携わることになっていく。同時期にネットで知り合ったリンゼイ(シャイリーン・ウッドリー)とは、彼女はリベラルという立ち位置の違いはあるものの仲を深めてゆく。

■ジュネーヴの国連代表部に派遣されたスノーデンは、そこでNSAの極秘検索システムの存在を知る。Google検索どころではなく、各個人のメール、チャット、SNSまで監視できる、憲法違反とも言える恐ろしいシステムだった。アメリカによる情報の世界支配の現実を知ったスノーデンは耐えきれなくなりCIAを辞職するが、Dellなど民間企業に席を置いたりしつつも、サイバー諜報に関わらざるを得なかったが、精神の限界に達し告発を決意する。

■いざ映画として見せられると、このストーリーはすごく説得力を持つ。またジョセフ・ゴードン=レヴィッドのスノーデンへの寄せ方がすごい。最後の方にスノーデン本人の映像も出てくるが、まったく違和感がない。映像演出は特に斬新という訳でもないけど、さすがストーン監督、ツボを押さえていて映画としての完成度も高いと思う。

■『プラトーン』などで人権派として評されることの多いストーン監督。今作も内容が内容なだけにハリウッドの出資は断られ、ロンドンからの出資で何とか作れたようで「今後映画を作れるかどうか分からない」と言っているらしい。ただ、「トランプ大統領に期待している」(最後の方にちょっとだけ出てくる)などの発言が示している通り、人権派というより「面白い映画が作れればそれでいい」という、悪い言い方をすれば山師のような人だと思う。もちろん、結果としていいアウトプットがあれば観客としては大歓迎なんだけどね。

■劇中の描写で、「もし日本が同盟国でなくなれば、仕込んでいるマルウェアを走らせ簡単に日本のインフラを破壊できる」という話には背筋が凍るが、たぶん本当なのだろう。でもそれだけ世界の諜報を牛耳っているのなら、トランプさんは不穏な大統領令を連発させて世界の顰蹙を買う必要はないのでは、とも思った。が、トランプの支持層と言われる白人の労働者層の支持を得るにはそういうパフォーマンスが必要なのかなとも。

■いろいろ書いたがたいへん刺激的で面白い映画です。お薦め。観たのはシネコンの中でも小規模のシアターだったのだがほぼ満員。週末興収にランクインしていなかったので劇場の編成ミスかもね。

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沈黙ーサイレンスー [映画]

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■2017/1/29鑑賞@チネチッタ。今年6本目の洋画5本目。

■ブログに何回か書いたこともあるが、ウチは父親がクリスチャン(プロテスタント)なので、オレも小学生の頃は毎週教会の日曜学校に行ったりする子供だったのだ。結局洗礼は受けなかったけど。で、中学の頃に、敬虔なクリスチャンである遠藤周作の『沈黙』を父親の本棚に見つけたので読んでみたら、ものすごく面白かったのだ。もちろんこの映画の原作小説のことである。それで観るつもりではいたのだが、話のあらすじの半分以上は覚えてなかったりして。加齢とは哀しいものです。

■監督は巨匠、マーティン・スコセッシ。最近の作品では、とても映画愛に溢れた『ヒューゴの不思議な発明』にじんと来たかと思うと、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオ様その他の過剰な暴力シーンに胸焼けがしたりと、相変わらず一筋縄ではいかない。今作はどう出るか。

■江戸時代初期の日本。織田信長統治下での庇護から一転、豊臣秀吉はキリシタンの弾圧を始め、江戸幕府になってからもそれは継続されていた。ポルトガル人の神父フェレイラ(リーアム・ニーソン)が消息を絶ち、棄教したとの噂も流れる中、弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライバー)は、フェレイラを追って日本人のキチジロー(窪塚洋介)の手引でマカオから長崎に潜入する。

■ロドリゴたちは「隠れキリシタン」と呼ばれる村人、イチゾウ(笈田ヨシ)やモキチ(塚本晋也)の庇護を受けつつ村人たちのために祈るが、幕府の取り調べは熾烈を極め、キチジローの裏切りもありついに囚われの身となる。長崎奉行のイノウエサマ(イッセー尾形)は、「結果的に村人を助けるためだ」とロドリゴに棄教を迫る。

■白人のメインキャストが(アメイジング)スパイダーマンだったり、スター・ウォーズだったりするところがなんだかおかしいが、それは映画の本筋にはまったく関係がない。原作小説がそうであったように、信仰の自由が一義なのか、自分の心を欺いても人と自分の命を助けるべきかという迷い。そしてそもそも異なる社会に自らが信じる宗教を広めるのは本当に正しいことなのか、という、当然現在に至っても答えなど出ようのない話に取り組んだ、非常に奥深い映画。

■日本人俳優陣も、キチジロー演じる窪塚洋介の卑怯さや、通詞を演じる浅野忠信の怜悧さ、そしてまさに体を張った演技の塚本晋也監督など見どころたっぷり。加瀬亮や青木崇高、片桐はいりとかも出てます。小松菜奈も土に汚れた村人の娘役だが妙に光っている。この人が重用されている理由が少し分かったかも。

■現代の日本では信仰の自由は基本的に保証されているので、よほどのカルト宗教でない限り、特定の宗教の信者だからといって他人から白い目で見られることはない。だが世界を見ると、今でも自らの信じる教えのために、喜んで自分の命を投げ出す人が少なからずいるという現実。観てスッキリという映画ではまったくないのだけど、ぜひ観て懊悩していただきたい。映画(小説)のタイトル『沈黙』は、キリストが十字架で処刑される際に神(ゼウス)は救いの手を伸ばさず沈黙していたこと、そして同じ状況に置かれたロドリゴを示したものです。

■余談。舞台は長崎がメインだがそのシーンは全面台湾ロケ。一応スコセッシ監督御一行は、長崎で撮るべくロケハンに訪れたらしいが、その時に長崎県の役人が下手打ったとか打たなかったとかで結果台湾ロケになったらしい。強い資本力でアメリカの映画会社を買収できたりする中国は別格として、官の柔軟な対応でロケ地を獲得している韓国と比べても、その点に関しては日本は劣っていると思う。日本がコンテンツをひとつの武器としていくならば、「クール・ジャパン」とか寝呆けたこと言ってないでその辺の対応を整備するのが先じゃないかと思っちゃいますがね。

■余談のおまけ。この映画、初週の週末興収は4位で2週目は8位。だけど公開週の週間ランキングでは堂々の1位。オレが観た劇場(2週目週末)でも還暦過ぎの方が大部分を占めていたので、なるほどなと思う。テーマが重いしイケメンやアイドルが出ているわけではないので(出演している役者さんすいませんすいません)若い人には受けにくいというのは分かる。そして映画を1,100円で観られる比較的時間に自由が効く層は、平日に映画を観る人が多いはずだということも。

■映画館の2週目以降の編成は、初週の興収をかなり参考にしているはず。でも本当に映画が好きなのはたぶん年配層なので、今後は週間ランキングも参考にしたほうがいいと思う次第です。もちろん現在でも参考にしているところはあると思うけど。

新宿スワンⅡ [映画]

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■2017/1/28鑑賞@109シネマズ川崎。今年5本目の邦画1本目。同名漫画が原作の一昨年の映画『新宿スワン』の続編。

■興行収入的には『新宿スワン』は園監督のキャリアハイなはずだが、昨年ツイッターで『シン・ゴジラ』『君の名は。』と思われる映画を罵倒したりとかと何かと物騒な園監督。本人の弁によると、この映画で「頼まれ仕事」は最後にして、今後は自分のやりたい企画のみで映画を撮るんだとか。

■舞台は前作から1年後。歌舞伎町のスカウト・龍彦(綾野剛)は、スカウトが過剰状態のためシマの拡大を命じられ、幹部の関(深水元基)とともに横浜に向かうが、横浜はかつて関と因縁があった滝(浅野忠信)の率いるウィザードが支配していた。

■これもヤクザが出てはくるのだが、昨今のご時世でヤクザを主体にはできないので、スカウト同士の抗争を描く、前作と同様の疑似ヤクザ映画。ただ今回はアクション監督として、『るろうに剣心』などの谷垣健治さんが参加しているので、格闘シーンは前作より迫力がある。

■ただ、一部原作のせいなのかもしれないが、脚本が冗長でテンポが悪すぎる。前作は放送作家の鈴木おさむと水島力也(山本又一朗Pのペンネーム)の共作だったが、今回は水島力也単独。前作もテンポがいいとは言えなかったが今作は輪をかけて酷い。伝説の映画『太陽を盗んだ男』などにも関わった大御所プロデューサーなのかも知れないが、この人は脚本書いちゃダメですよ。

■それに引きずられて園監督の演出も冴えず、今まで満島ひかりや二階堂ふみなどの若手女優の魅力を引き出した技法の片鱗も感じさせない。ヒロインの広瀬アリスなんか、この映画の中ではただのかわいそうな女の子にしか見えない。

■という訳で前作以上に残念な映画でした。やはり園子温は自分の企画・脚本で映画を撮るべき人かなと。大ハズレもあるが、大当りもそこからでしか生まれないような気がする。


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