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われらが背きし者 [映画]

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■2016/10/23鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年114本目の洋画58本目。今週(10/22-10/28)はTOHOシネマズのマイレージ会員は、どこで観ても1,100円というお得価格なので今日も観ておこうと思い。予告編が面白かったので気になっていたというところもある。

■原作はスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの『Our Kind of Traitor』。雑に訳すると「我ら裏切り者」とでもなるんだろうけど、ちゃんと原作小説が翻訳出版されているので、いつも日本での配給会社が付けるような非常に雑な邦題にならなくて本当に良かった。何回言ったか分からないが、配給会社の邦題担当の人はもっと勉強して欲しい。「こんなタイトルだったら観客増えるだろう」とかの変な思い込みなしで。出版社の方々のほうがよほど優秀。

■ル・カレ先生の原作映画を観るのは、(故)フィリップ・シーモア・ホフマン主演の『誰よりも狙われた男』以来。ロンドン大学で詩を教えている大学教授のペリー(ユアン・マクレガー)と妻で弁護士のゲイル(ナオミ・ハリス)の夫婦仲は冷え切っていたが、休暇でモロッコに来ていた。バーで知り合ったロシア人のディマ(ステラン・スカルスガルド)に強引に彼主催のパーティーに誘われたペリーは、ディマにマネーロンダリングの情報が入ったUSBメモリーをMI6(イギリスの秘密情報部だね!「007」でおなじみ。でも今回はボンドは関係ないです)に渡してもらうように強引に頼まれる。実はディマはロシアン・マフィアで、マフィア内での権力争いの結果、自分と家族の身に危険が及びそうなので、情報と引き換えにイギリスへの亡命と身柄の安全を希望する。

■ベリーはイヤイヤながら帰国後MI6の調査官・ヘクター(ダミアン・ルイス)に接触するが、ヘクターは情報の真偽を疑っている。そしてディマとの交渉にペリーとゲイル夫妻は巻き込まれていく。

■ミステリなので以下のネタバレは止めておくが、イギリス映画らしいスタイリッシュな映画です。何の得にもならないのにディマに何かしてあげようとするペリー。ディマはペリーを「信義を重んずる男」(Man of honor)と評する。字幕とヒアリングの記憶が怪しいので間違ってたらごめんなさい。そしてこの映画、広義のスパイ映画なのだが、アクションシーンはなくはないけど、昨今のスパイ映画と比較したら全然少なくて、そこがいい。

■鑑賞前の期待を上回って良かった映画でした。ディマ役のステラン・スカルスガルドは初見かと思ったら、『アベンジャーズ』シリーズや、『ドラゴン・タトゥーの女』にも出演されてたんですね。印象残ってなくて申し訳ありません。

■しかし、ユアン・マクレガーも老けたなあ。『トレインスポッティング』や『スター・ウォーズ』のエピソードI-IIIと比べて。観客のオレはもっと老けてるけど。

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スター・トレック BEYOND [映画]

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■2016/10/22鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年112本目の洋画57本目。

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を監督し大ヒットしたことで、ある意味お墨付きを貰ったJ.J.エイブラムス監督。もちろんエイブラムス監督はそれだけではなくて、トム・クルーズ主演の大ヒットシリーズの一作『M:I:III』の監督もそつなくこなしていたので好感はある。そしてこのシリーズの前作で監督作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』も観て面白かったというのも大きい。ただし、今作は監督でなく制作に専念している。まあ『SW7』が忙しかったせいなのかどうなのか。そして監督作ではほぼハズレがなさそうな(そんなに観てないけど)エイブラムス監督であるが、たまたま同じく制作で今年観た『10 クローバーフィールド・レーン』が結構ハズレだったので半分不安ながらも観た。

■『イントゥ・ダークネス』のエントリで書いてある通り、わたくしは『スター・トレック』シリーズについてはあまり真面目に観ていないという前提で以下を読んで頂けるようお願いします。エイブラムス監督のリブート第一作も観ていないくらいなので。

■任務を(あまり上首尾ではないが)終え、宇宙基地・ヨークタウンに戻ったエンタープライズ号。そこで未知の領域から逃げてきた宇宙人の依頼を受け、そこの探索と依頼された宇宙人の仲間の救出のためその惑星に赴く。エンタープライズ号の艦長・カーク(クリス・バイン)と副長のスポック(ザカリー・クイント)はこの任務が終わったら船を降りるつもりだったが、お互い言い出せずにいた。

■だがそれは敵の罠で、エンタープライズ号は撃墜され、クルーの大部分は敵の捕虜になり、敵の惑星の別のところに下りたカークやスポックは、何とか反撃を試みようとする。

■面白いんだけどストーリーが雑すぎ。カーク船長とか簡単に敵の罠にハマりすぎて馬鹿じゃね?と思うし。何より『スター・トレック』シリーズのシンボルでもあるエンタープライズ号が簡単に撃墜されるってどうなのという感じ。SWファンからしたら、ハン・ソロが駆るミレニアム・ファルコン号が撃墜されるに等しいインパクトかと。

■今のところエピソード7まではミレニアム・ファルコン号は撃墜されてはないですが。ただわたくし、スター・トレック素人なので、エンタープライズ号の扱いは今までもこんなもんだったらその旨ご教示ください。

■あとはエンタープライズ号のユニフォームは昔のままのデザインだったり、銀河連邦が宇宙の平和を維持するというコンセプトは、昔アメリカが世界の警察だった時代を踏んでたりして、いかにもレトロというか古臭いのだけど、VFXを含めた映像技術だけはやたらに進化しているのでそのミスマッチが面白い。トレッキー(スター・トレックのファンという意味)の方々を馬鹿にしている訳ではまったくありませんが、このままB級SFの道を邁進していただきたいと願う次第です。だって面白いもの。

■なお、次回作の制作も決まっているそうです。

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闇金ウシジマくん the Final [映画]

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■2016/10/22鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年111本目の邦画55本目。先月公開された映画『闇金ウシジマくん Part 3』に続く、映画・TVドラマの『闇金ウシジマくん』シリーズ完結編。今のところは。というのも原作漫画は連載継続中なので、続編はその気になればいくらでも作ることが可能だと思うしね。おそらくTV・映画シリーズの総指揮の山口雅俊監督が、「そろそろ潮時」と思ったのではないかと邪推するけど。

■この映画の基本構成とかは、先月書いた『闇金ウシジマくん Part 3』のエントリを参照してください。今作においては、もともと中学時代に同級生だった丑嶋(山田孝之)と右腕の柄崎(やべきょうすけ)、情報屋の戌亥(綾野剛)や、同じく同級生で借金を申し込んできた竹本(永山絢斗)と、ライバルの金融屋・犀原茜(高橋メアリージュン)との若き日の因縁が明らかにされる上に、それに絡んで丑嶋を目の敵にする鰐戸三兄弟(安藤政信・YOUNG DAIS・間宮祥太朗)との戦いが主なストーリー。今までとは違い、基本的に原作「ヤミ金くん」編の話だけで構成されている。

■ホームレスになってしまった竹本が、鰐戸三兄弟の罠で貧困ビジネスに落ちていった話がきっかけなので、ちょっと映画Part1とカブるところもあり、劇中では犀原の部下の村井(マキタスポーツ)がる鰐戸三兄弟に向かって「オレたちの貧困ビジネスパクってんじゃねえ」というシーンもあるくらい。

■話の展開はスリリングで文句のつけようがないが、今までの多種多様の人が借金地獄に陥るシーンは、非常に緻密な取材の裏付けがあってのことだと思うのでリアリティがあったが、丑嶋や柄崎、鰐戸三兄弟との中学時代の抗争の話は、なんだか昔の本宮ひろ志の漫画『男一匹ガキ大将』のような感じ(古)で、リアリティが一気に乏しくなってしまう。おそらく作者の想像部分の比率が大きかったのではないかと。丑嶋という素性の分からない男のピカレスクロマンというところも大なので、原作にそういうエピソードがあっても丑嶋は謎のままにしておいた方が映画に説得力が出たのではと。ちょっとヤンキー漫画のレベルに引き戻されたような感じで残念でした。

■完結編ということもあって、結末に少し情緒に流されている描写が多かったのが残念。あと、原作漫画にもあるらしいので仕方ないけど、悪徳弁護士・都陰(八嶋智人)と美容界のカリスマ・万里子(真飛聖)のエピソードは冗長だったかなと。

■全体では山田孝之の芝居を始め、満足の行く良いシリーズだったと思うので、ありがとうございますと言いたい。文句が多いのはそれだけ好きだったという意味に取ってもらえば。特に原作では大柄な男の丑嶋なんだけど、さほど大柄ではない山田孝之なのにピッタリ役にハマっていた。素晴らしい。

■でもこのシリーズ限定で山田孝之の肌がツルツルなのはなぜ?という疑問はちょっと残りました。

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永い言い訳 [映画]

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■2016/10/16鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年110本目の邦画54本目。

■本作の西川美和監督の作品は、劇場では初見。前作、松たか子&阿部サダヲの『夢売るふたり』はWOWOWで見て凄く面白かったので。本作の企画にも携わっている是枝裕和監督の弟子筋の方ですね。原作の同名小説も西川監督の筆によるもので、直木賞候補作にもなったとか。存じ上げませんでした。基本的にオリジナル脚本の映画化に拘る監督さんのようです。素人ながら思いますが、企画を通すだけでも非常に難しいはずなので凄いです。師匠の是枝さんもたまに原作物を混ぜているんだけどね。昔の邦画巨匠のパターンなんだろうけど、原案あり主体の監督さんと比べて、どちらがいい悪いというのは言えないです。柔軟な方の方が好きなんですが、それはオレの個人的な好み。

■人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容院を経営する妻・夏子(深津絵里)と二人暮しで子供はいない。小説家よりTVバラエティのクイズ回答者としての方が目立っている現状。夏子が高校時代の友人・ゆき(堀内敬子)とスキーバスツアーに出かけた夜、幸夫は家に編集者の智尋(黒木華)を連れ込みベッドに入っていた。朝、幸夫のもとに連絡が入り、夏子がバス事故で死んだことを知り呆然とする。

■うまく感情を整理できない幸夫は、バス会社との補償交渉の席でゆきの夫・陽一(竹原ピストル)にいきなり距離を縮めて話しかけられる。陽一はトラック運転手で家を空けることが多いため、母を亡くした長男の真平は、妹・灯の面倒を見るために有名中学校の受験を諦めようとしていた。見かねた幸夫は週二回のヘルパーを申し出るが。

■自意識が過剰で(『何者』に続いてだ!)すでに心が離れていた妻の突然の死を素直に悲しめないめんどくさい男を本木雅弘が懸命に演じている。映像は素敵だけど、気軽な感情移入を絶対に許さない西川監督の脚本・演出は厳しくも凄い。主人公の視点が常にふらふらするのだ。思い込みかもしれないけど、「映画は覚悟して観よ」という監督のメッセージなのかも。

■いい映画だし、ベイマックス(仮)先輩とかは大絶賛なのだけど、オレ的にはもうひとつ。正直言うと本木雅弘の演技があまり肌に合わない。なんとなくわざとらし過ぎて。あの周防正行監督の大傑作『シコふんじゃった。』においてもです。ただこれはオレの個人的な感覚なので、本木雅弘ファンの方々はお願いですから気を悪くしないでください。

■そこでこういう褒め方はまたアレなのだけど、竹原ピストルの演技には超脱帽。本来ミュージシャン(確か今だと住友生命のCMソングとか)の方で俳優が本業じゃないんだけど、近づいてきていきなり違和感なく腹に包丁を刺すような距離感で凄すぎ。映画『海炭市叙景』で、正月に妹(谷村美月)を連れて函館山ロープウェイに登り、帰路金がないので妹だけロープウェイで下山させて自分は凍死した兄の役がすごく印象的でした。

■モッくんの演技に違和感ない人はお薦めだと思います。あまり褒めてないように聞こえるけどそんなことないです。

■おまけ。幸夫の愛人役の黒木華は後半はあまり出て来ないし、逆に後半、陽一の家族をサポートするようになる学芸員・鏑木(山田真歩)はこの映画でのルックスがかなり似ているので、両女優に馴染みのない方(それなりにいると思う)は混同してしまうのでは。ちなみに二人とも、吉高由里子主演の朝ドラ『花子とアン』には、それぞれ主人公を敵視する人気作家と、主人公の妹という役で出ていたのは奇遇かな。

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何者 [映画]

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■2016/10/16鑑賞@チネチッタ。今年109本目の邦画53本目。

■朝井リョウの直木賞受賞作の同名小説が原作。朝井リョウの作品の映画化は、大傑作『桐島、部活やめるってよ』に続き二作目。映画は大傑作だったのだけど、実はオレはそれほど熱心な朝井リョウファンというわけでもなく、読んだ小説は『桐島』とこの原作小説の二作だけ。『桐島』の主なテーマはスクールカーストで、『何者』は就活。ただ二作に共通しているのは、若者たちの過剰なまでの自意識。そういえば就活映画と言えば、金子修介監督・織田裕二主演の『就職戦線異状なし』という映画もあったっけ。

■拓人(佐藤健)は都内の私大生。元演劇サークルで、元バンドサークルの同級生・光太郎(菅田将暉)とルームシェアをしている。語学留学から帰国した光太郎の元カノで片思いをしていた・瑞月(有村架純)と再会し、瑞月の知り合いの理香(二階堂ふみ)と同棲中の彼・隆良(岡田将生)が同じマンションの真上の部屋ということもあり、就活のために理香の部屋で定期的に集まるようになる。それに拓人に定期的にアドバイスをくれる演劇サークルの先輩の理系院生・サワ先輩(山田孝之)を含めての話。

■現在の邦画界での若手オールスターと言ってもいいくらいのキャストなので、就活をテーマにしたラブストーリーにも思えるけど、朝井リョウの原作で、脚本・監督が、問題作『愛の渦』の監督でもあり、劇団ポツドール主宰の三浦大輔なのだ。そんな話になる訳がない。なお、三浦大輔はハマの番長ではありません。ま、元祖番長は今年現役を引退したので、今後は余計な注釈は必要ないとは思うけど。小説もエグいが映画はそれに輪をかけてエグい。

■オレの時代の就活は30年以上前だったので、ひたすら履歴書を書いて送って会社説明会、時折OB訪問したりとかなので、当時はインターネットの萌芽のようなものは存在していたけど、商業ベースでの利用はほぼゼロでした。その後の転職活動では多少使ったけど、エントリーシートとかWEBテストとかにはあまり馴染みがない。おまけにここ数年で増殖してきたSNSの存在もあるし。だからオレらの世代とかよりも、今現在の就活世代の人たちのほうがハマるのではないかとも思うけど。

■でも、この映画(小説)の主なテーマである「自意識との戦い」というのは割合普遍的な話なのでそこはズッポリきた。そして三浦大輔監督の演出には容赦がなく、キャスティングの段階から考えていたとは思うんだけど、登場する俳優が持ち合わせそうなネガティブなパブリックイメージを強烈に掘り下げている演出がいやらしい。佐藤健の「内向的で利己的」なとことか、二階堂ふみの「意識高い系」とか、有村架純の「鈍重さ」とかね。あくまで本人がどうかではなくて、そういうイメージにすごく当てはまりそう、という意味で。そして劇団主宰の三浦監督らしく、かなり舞台に寄せていった演出方法とかも見どころ。

■特に主役の拓人の、「批評家的に人の活動を見下して自分の中”だけ”での精神的優位を保つ」というスタンスは、エグいけど誰でも大なり小なり自分に降りかかるところはあるんじゃないだろうか。オレにもね。

■原作小説がすでに4年前なのだけど、twitterのシステムを効果的に小説・映画に使った手法もちょっと唸ってしまう。SNSのサービスは常に古びていくという宿命を背負っているのだけど、敢えてそれを選択した小説・映画の作り手の勇気も褒めておきたいな。観てスッキリする映画でも何でもないけど、気になる人には観て欲しい映画。

■ところで原作の朝井リョウは、早稲田在学中に『桐島』ですばる文学賞を取り、しかも就職先は東宝という就活超勝ち組。もう退職したらしいけど。そして今作の企画は、同じく東宝在籍で小説家もやっている川村元気というのもなんかの皮肉か。東宝在籍作家の大先輩と言えば、石原慎太郎もそうらしいけど。

■「企画」の業務範囲がどこまで及ぶのかは知らないけど、川村さん、後輩原作映画のヒットを願うならTVCMにIKKOを使うべきじゃなかったね。台無し。まあ映画はヒットしているようだけど。

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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ [映画]

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■2016/10/16鑑賞@TOHOシネマズシャンテ。今年108本目の洋画56本目。トマス・ウルフ、フィッツジェラルド、ヘミングウェイなど、1900年代のベストセラー作家を生み出した敏腕編集者、マックス・パーキンズのノンフィクションを元にして作られた映画。この映画の情報を知って以来、絶対観たいと思っていたのだけど、この手の文芸映画は恐ろしく上映館が少ないので、またもやTOHOシネマズシャンテまで赴くことになった。

■フィッツジェラルドやヘミングウェイの発掘で名を成していた編集者パーキンズ(コリン・ファース)の元に、あちこちで持ち込みを断られた作家志望のトマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の小説が持ち込まれる。いささか長過ぎるその小説にパーキンズは才能を見出し、ウルフとともに長い打ち合わせの後に大幅にシェイプされた小説は『天使よ故郷を見よ』と名付けられ大ヒットする。その勢いで二人は第二作に取り掛かるが、パーキンズは家庭を、ウルフは愛人アリーン(ニコール・キッドマン)を疎かにしてそれぞれ反感を生む。結果第二作『時と川を』もヒットするが、ウルフはパーキンズ頼みという悪評に怒り、またパーキンズは自分の選択が正しかったのかを自問自答し、二人の関係に微妙なものが生まれる。

■原作のノンフィクションは未読なのだけど、脚本の構成が絶妙でテンポがいい。個人的な好みだがこの時代(1920ー30年代)のアメリカ文学にはすごく興味があり、耽読に近いほど読んでいたフィッツジェラルドや、ヘミングウェイが登場人物として現れるのも非常に楽しかった。

■けど実は、トマス・ウルフの作品は全く読んだことがない。ヘミングウェイは日本のどの年代でも一定の読者層がいたし、オレも数作は読んだことがある。フィッツジェラルドは作品の映画化や、1980年代以降の村上春樹の新訳などでリバイバル的に人気が高まり、現在でも一定の人気がある。トマス・ウルフは、すごく失礼な言い方をすれば日本ではあまり流行ってなかったのだ。調べてみたら日本では再評価のきっかけにもなる新訳もされてないようだし、現在著作のほとんどは絶版状態。特にフィッツジェラルドは、村上春樹や野崎孝(故人)の翻訳で認知されたところも大きいしもったいない。もう原書を辞書を引き引き読む気力もあまりないので、これを機会に新訳が出ないかな、とも思うが難しいか。なお、字幕協力で英文学者の柴田元幸さん(オザケンの恩師)がクレジットされているが、これはおそらくトマス・ウルフの小説の翻訳文のところで協力したのではないかな、と邪推してみたりする。

■コリン・ファースとジュード・ロウの素晴らしい演技もあり、かなりお薦めの映画です。ただ、パーキンズが手掛けた小説家の中で、この映画に出てくる3人は幸せな死に方をしていない。フィッツとウルフは若くして病死、ヘミングウェイは自殺と。それはパーキンズが理由なのか、それともこの時代のアメリカの作家が運命的にそうだったのか、はオレには分からないけどね。

■ちなみに原題は『Genius』。なんでこんな邦題になるのかなという文句は、毎度のことなので止めておきます。

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お父さんと伊藤さん [映画]

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■2016/10/8鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年107本目の邦画52本目。

■毎度書いてるような気もするが、タナダユキ監督の作品は、さほど好きではないけどなんか引っかかるのだ。『ふがいない僕は空を見た』『ロマンス』に続いて観る。日常生活に起こりそうな細かいイザコザを丁寧に拾い、特に何の解決策も示さないという作風は、純粋なエンタを求めてくる観客には受け入れられないところはあると思うけど、映像の拾い方がなんだか優しい。今作もその系統。中澤日菜子さんの同名小説が原作。未読。

■34歳で書店でバイトする彩(上野樹里)は、以前コンビニのバイトで知り合った伊藤さん(リリー・フランキー)といつの間にか同棲するようになっていた。伊藤さんは現在は近所の小学校の給食のおじさんのバイトをやっている54歳。そこに兄夫婦と同居していたが折り合いが悪くなった74歳のお父さん(藤竜也)が、急に転がり込んでくる。お父さんは元教員で融通の効かない性格なので、いい年して定職につかず、結婚も子供も特に考えていない彩と伊藤さんの生活が理解できない。ギクシャクしながらも馴染み出した矢先、お父さんは突如としていなくなる。

■人口の高齢化や、正社員になるのが難しい現在の就職事情とかを折り込みながら特に何の解決案も示さないのは毎度お馴染みのタナダユキ節。そりゃ、映画に簡単な回答を求めるほうが間違ってるんだけど。しかし我々50代からすると、ダンディなイケメン(TVドラマで斉藤由貴と共演した『湘南物語』とか良かったなあ)と言うイメージが強い藤竜也が、融通の効かない元教員、という役割なのは新鮮。でも最近は『龍三と七人の子分たち』での屁をこきすぎる元ヤクザや、『私の男』で二階堂ふみに流氷に置き去りにされて死ぬ面倒見のいい親戚のおじさんとか、結構印象的な役が多い。俳優さんも日進月歩なので、観る側が昔のイメージに囚われすぎてると損するかもね。

■上野樹里はこういう曖昧な立ち位置の役はすごくハマるし、今年公開の邦画には恐らく5割以上出演しているリリーさんの演技もさすが。なんで『シン・ゴジラ』には出てなかったのか(笑)。若干ネタバレにはなるけど、藤竜也の最後の去りっぷりがイカス。ちょっとファンタジーかなとは思うけど。


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グッドモーニングショー [映画]

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■2016/10/8鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年106本目の邦画51本目。これからしばらくは邦画の視聴回数が増えていく予定。

■『踊る大捜査線』シリーズの脚本家で知られる君塚良一さんの脚本・監督作品。君塚監督の前作『遺体』は3.11を扱った映画で、WOWOWの放送を録画しておいたのだけど、最初を若干見たところで気が重くなって消してしまった。はいヘタレです。この映画はテレビ局を舞台にしたサスペンスコメディ、てそういう単語あんのか?

■澄田真吾(中井貴一)はキー局の朝のワイドショーのメインキャスター。かつては報道畑だったが、昔のとある事件がトラウマになり現場に出るのを恐れていた。視聴率は低迷状態で、番組改編のため、同期のP石山(時任三郎)からは降板を告げられる。家庭では妻・明美(吉田羊)や息子にもそっぽを向かれている。しかも思い込みの激しい同僚の女子アナ・小川圭子(長澤まさみ)からは別に関係を持ってもいないのに、「二人の関係をバラす」と言われ四面楚歌の状態。

■そこに品川駅前の24時間営業の喫茶店&ベーカリーで、銃を持った犯人・西谷颯太(濱田岳)の立てこもり事件が発生し、犯人の要求として「澄田を連れて来い」とと言われ、イヤイヤながら澄田は現場に赴く。

■銃を持った立てこもり犯と、人質(この映画では厳密には違う)になるTVキャスターという構図は、今年日本公開のハリウッド映画『マネーモンスター』と構造が似ている。「キャスターはトーク力で勝負すべき」という仲間からのサジェスチョンとか。ただ製作期間がすごく重なっているはずなので、パクリではないと思う。

■普通に面白いしハラハラするし、そつがない。でもこれ映画にする必要あったかな? そもそもTVの話なのでTVの2時間枠の方が似合ってたような気もするし。ただすでに書いた以外にも、志田未来・松重豊・池内博之などのキャストも割合豪華なので制作費の問題という気もしますが。

■主演の中井貴一の演技も含め、もうひとつ何かが足らなかったという感じ。じゃあ『ふぞろいの林檎たち』のあと一人、柳沢慎吾が出ていれば良かったのかと言われるとそういう話でもない。ただ、犯人役の濱田岳は同情の余地を感じさせないほどのクズ演技が素晴らしかった。マジ凄い。

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アイ・ソー・ザ・ライト [映画]

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■2016/10/1鑑賞@109シネマズ川崎。今年105本目の洋画55本目。

■主に1950年代に活躍したミュージシャン、ハンク・ウィリアムス(トム・ヒドルストン)の半生を描いた伝記映画です。実はオレは特に1950〜60年代のアメリカのミュージシャンの伝記映画が大好物で、『ラ・バンバ』や『バディ・ホリー・ストーリー』とかを愛してます。その流れで今作も観たのだけど、ハンク・ウィリアムスは名前はかろうじて知ってたけど曲は全く聴いたことがない。ポスターとかでは「ロックの父」とか書かれてるけど、劇中で曲を聴いたらもろカントリーです。実際、ボブ・ディラン様とかはハンクの曲に結構影響を受けてたらしくて、そう間違いではないのかも知れないけど。

■映画は1944年、ハンクが子持ちのオードリー(エリザベス・オルセン)と結婚するところから始まる。ハンクは才能に溢れ徐々に認知されるようになっていくが、オードリーは自分も歌手であるがゆえ夢を捨てきれない。ハンクの母とオードリーの折り合いも悪く、そこから逃げるように酒浸りになる。子供が生まれ一時は家庭は安定するが、プレッシャーに耐えきれずハンクは酒を続け浮気もする。それは彼の体を蝕んでゆく。

■ま、ざっくり言うと、才能には溢れているが人間的にはクズのミュージシャンの、女運が物凄く悪いという話です。特に、劇中では歌が下手なオードリーはちょっとたまらない。実際の歌を聴いたことがないので何とも言えないけど。その後ハンクに言い寄ってくる女性もヤバイ人ばっかり。

■でも、トム・ヒドルストンも、『アベンジャーズ』シリーズのロキとは全くの別人。役者さんは凄いなと改めて。

■ハンク・ウィリアムスという人はたぶん凄い人だったんだと思うけど、この映画では彼へのリスペクトをあまり感じさせない演出になっている。失礼かなとは思うが、著名ミュージシャンが煉獄に落ちるということがもし目的なら、一定の効果は上げているのでは。なんだか物哀しいし。

■強くは薦めませんが、もしお暇があれば。

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SCOOP! [映画]

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■2016/10/1鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年104本目の邦画50本目。

■以前も書いたけど、大根仁監督のドラマ・映画は大好物。言われなくても絶対観ますという感じで初日に来た。映画で言うと『モテキ』『恋の渦』『バクマン。』ですね。昨年公開の『バクマン。』に次ぐ今作。来年も公開作が決まっているようで、大根監督が映画の量産体制に入ったのはファンとして素直に嬉しい。

■原作・原案ありの多い大根監督作品だけど、今回も大御所・原田眞人監督の1985年の映画『盗写 1/250秒』が原案。映画といってもテレフィーチャー(TV用の映画)で、当時は大森一樹監督の『法医学教室の午後』とかを日テレでやってたと思うので、たぶんその一環だろう。未見。その後劇場で公開されたかどうかは知りません。DVD化もされてないらしく、原案映画と比較してみるのは一般市民にはほぼ無理です。

■本作と原案映画のタイトルを見れば想像つくと思うけど、写真週刊誌を舞台にしたパパラッチの話です。『盗写 1/250秒』の時代は「FOCUS」と「FRIDAY」、現在は「FRIDAY」と「FLASH」が主な雑誌かと。

■かつて数々のスクープをものにした凄腕カメラマン・都城静(福山雅治)は、現在は借金まみれで風俗好きの芸能専門中年パパラッチに成り下がっていた。時々ネタを売りに行っている写真週刊誌「SCOOP!」の副編・定子(吉田羊)の策略で、異動してきたばかりの新人記者・野火(二階堂ふみ)とイヤイヤコンビを組まされることになる。下品すぎる静と使えない野火は当然ギクシャクするが、現場を踏むうちに息が合ってくる。結果を出し始めたコンビに、定子は芸能だけではなく事件ものの取材を提案するが。

■大根監督の作品はテンポが凄くいいが、今までは時折中だるみがあったのだけど、今回は全編通して緩みがない。相変わらず映像も新しいアイディアが満載。登場人物も、他には情報屋・チャラ源(リリー・フランキー)や、定子と出世を争う副編・馬場(滝藤賢一)など魅力的なキャラクターで構成されている。

■また例によって大根監督は写真週刊誌への入念な取材をしたそうで、張り込みにも同行したらしい。面白かったのは編集会議で定子(スキャンダル班)と馬場(グラビア班)が対立するシーン。「売上はグラビアが支えてんだよ!」という馬場の主張もさもありなん。確かに写真週刊誌の中で唯一グラビアがなかった「FOCUS」は一番最初に撤退したしね。

■役者陣の演技は素晴らしすぎる。特にリリー・フランキーと二階堂ふみは、来年のどっかの映画賞で助演賞を取っても全くおかしくない。リリーさんは既に日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を取ってるけど。ただ、リリーさんがどれだけ凄かったかというのを書くと、ネタバレになるので控えます。

■ただ、正直に言うと主演の福山雅治の演技がピンと来なかったところもある。以下私見だけど、福山雅治という俳優さんは、事前にかっちり役作りをしてから現場に入っていくというタイプの人という印象がある。代表作『龍馬伝』『ガリレオ』はキャラクターが強烈なのでそれはマッチしてたと思うが。ただ、今作は「ゲスで借金まみれで女好きなカメラマン」の役で、しかも大根監督の「バブル期のエロオヤジ」を表したようなセクハラな脚本(ただし、原案映画の結末は変えてないらしい)もあり、特に前半は演技がわざとらしかった。この辺は作り込みではなくて、オフビートな芝居をして欲しかったけどね。ただ後半はシリアスな展開になるので、そこで歯車がきっちり噛み合った感じです。

■福山雅治の演技の感想についてはオレの個人的な嗜好もあると思うので、スルーして頂いても結構です。映画としてはたいへん面白い。ただ初日はファーストデーであったにも関わらず、目視で劇場は7割くらいの入りだったし、客層の平均年齢も高め。大根監督はこういう目標を掲げておられるようだけど、ちょっとムズいかな。『君の名は。』相変わらずどこでもほぼ満員です。バケモンだ。

■でも絶対面白い映画なので、観れる機会のある方はぜひ。

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