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ヤング・アダルト・ニューヨーク [映画]

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■2016/7/23鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年86本目の洋画46本目。ベン・スティラーが主演で、オレが結構好きなアマンダ・セイフライド(この映画の公式表記ではアマンダ・サイフリッドなんだけど、この表記の方が好きなので)が出てるという事前情報しかなくて観ました。映画を観る際は主に映画情報を調べてから観るタイプではあるんですが、3割くらいは事前情報なしで印象で観たりする。この映画はNYを舞台にしたなんかアート系かほのぼの系という先入観で観ました。裏切られましたが。

■ブルックリンで暮らす44歳のドキュメンタリー監督のジョシュ(ベン・スティラー)は新作が停滞中で、アートスクールで講師のバイトなどもしている。妻のコーネリア(ナオミ・ワッツ)との間には子供はいない。まあくすぶってるし、コーネリアの父である著名なドキュメンタリー監督・ブライドバード(チャールズ・グローディン)の存在を重荷に感じている。

■ジョシュはアートスクールの講義を聴きに来たジェイミーに声を掛けられ、ジェイミーの妻ダービー(アマンダ・セイフライド)やコーネリアと夕食をともにしたことから仲良くなる。ジェイミーは最初誰だか分からなかったのだけど、「この顔が異常に長い男は見たことがある」と思って考え直したら、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のカイロ・レン(アダム・ドライバー)だったんですね。ジョシュのドキュメンタリー映画を好きだというジェイミーにうまいこと乗せられ、従来の同世代の子供がいる夫婦たちとは疎遠になり、ジェイミーの主宰するパーティとかに休日は積極的に参加するようになる。まあ当たり前だけど、ジェイミーには別の目論見があった。

■これもネタバレはしませんが、『海よりもまだ深く』と同じくらい中年男(オレなんか50過ぎてるから初老か)には別の角度で大変痛い映画です。若い連中に調子を合わせようとして奮闘するベン・スティラーがすごく痛い。あと戯画的に面白かったのは、ジョシュ世代は検索はスマホで音楽はCDなんだけど、ジェイミーはアナログレコードで情報は口コミとかね。微妙に現代の世相を反映してるような。オレは52歳ですがスマホ活用派だしね。

■「年寄りが若者の真似をしても成り立たない」という意味の強い映画だと思ったので、あまりお薦めはできかねます。エンディングも「そういうふうにすべきだ」という指標の映画だと思いますので。先入観で穏やかな映画だと思ったのですが違ったようです。お薦めはしませんが、観るなら若い人向きです。

■最後に邦題に文句。原題は『While we’re young』なんで別に翻訳する必要もないでしょう。それが邦題では横文字で全く違うタイトルっていったい何ですか。日本語に訳した上で別のタイトルを付けるのならまだしも、著作者をバカにしてんのか!と軽く怒りました。フリッパーズ・ギターの『恋とマシンガン』の英訳かよ!とツッコミしたいくらい。マニアックで申し訳ありません。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [映画]

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■2016/7/23鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年85本目の洋画45本目。

■オードリー・ヘップバーン&グレゴリー・ペックの傑作、『ローマの休日』はもちろん知っているし見たこともあるけど(TVで)、脚本家が誰かというところにまでは興味が行かず、この作品で人の名義を借りてアカデミー原案賞(今はもうありません)を受賞した男、ダルトン・トランボが主人公ということで食指が動いた。なぜかこの映画、オレがよく行く映画館ではあまり予告編をやってなかったらしく、予告編を見た記憶は曖昧です。

ハリウッドの売れっ子脚本家トランボ(ブライアン・クランストン)は第二次大戦中に米ソが手を組んでいた時代に共産党員になり、終戦後も映画に関わるスタッフの待遇向上のために活動していた。しかし戦後のアメリカは共産党系の排除が政府や世論の焦点となり、政府系の組織「下院非米活動委員会」がトランボや他の協力者を「ハリウッド・テン」と標的にして議会に呼び出す。いわゆる「赤狩り」。結果、トランボは投獄され、刑期を満了しても「アカ」というレッテルを貼られ仕事は来ない。

■名義貸しで書いた『ローマの休日』でアカデミー賞を受賞はしたが生活は苦しい。トランボは苦境を脱するため、B級映画製作会社「キング・ブラザーズ」の社長、フランク・キング(ジョン・グッドマン。『10 クローバーフィールド・レーン』の役と違って悪かろうとも筋が通っている:笑)に売り込み、安価で脚本を大量に書くようになり、手が足りないので「ハリウッド・テン」の仲間を引き入れる。しかしその一方で、もともと独善的なトランボはハードワークのあまり、家庭を顧みないようになり、妻・クレオ(ダイアン・レイン)や娘や息子に負担をかけてしまう。

■実話なので結末は大体想像できるのだけど、結局脚本家としての力量で敵を叩きのめすトランボが痛快で、最大の悪役として出てくる元女優のゴシップジャーナリスト、ヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン。本当に憎らしい:笑)に最終的に勝つところは、実話ながらすごくカタルシスを感じさせるので、映画としても大変楽しい。

■今年はまだ7ヶ月経つか経たないかなのに、「洋画ベスト5」を連発して年末大丈夫か感はあるけど、この映画も本当にお薦めです。上映館はそんなに多くないけど、特に映画好きの人はぜひ観てください。

■戦後のアメリカでの「赤狩り」は、ハリウッドで横行したのは知識として知っていた。かのチャップリンもしばらく映画を作れない時代もあったらしいし。同時に当時はアメリカの属国であった日本にも「レッド・パージ」という同様の動きがあった。しかしなんで日本ではアメリカでの通称が「赤狩り」で日本では横文字の「レッド・パージ」なのかは謎である(笑)。

■思想信条は個々の自由なのであまり言及はしませんが、現在の日本でも、現政権に反する意見を言うと「反日」「非国民」という声が局所的(と信じたい)に上がっている。でも、自由にものを言えない社会が一番恐ろしいと思うんですけど。

■そういう意味では、ハリウッドが気まぐれに見せる良心のようなもの、はいいなと思う。こういう映画もたぶん日本では作れないと思うし。

ファインディング・ドリー [映画]

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■2016/7/17鑑賞@109シネマズ川崎。今年84本目の洋画44本目。日本語吹替で観ました。ヒアリング能力の維持のために基本的に洋画は字幕で観ることにしているのだが、例によって子供対象の映画(特にアニメ)は都心でしか字幕版の上映がない。暑かったし面倒くさかったので近場の川崎で観ようと思ったら、案の定川崎のシネコン3つとも吹替上映。やむなし。

■前作『ファインディング・ニモ』から13年ぶりの続編。前作を観て面白かったのは覚えている。が今作を観て改めて感じた吹替版の印象の強さで、前作は字幕版で観たはずです。たぶん海外への航空機の往復どちらかの機内上映で観たのかと思ったが、確認のため古いパスポートを見てみると、『ニモ』の上映があった2003年には海外に行った記録がない。なので、当時は今より都心に近い武蔵小山に住んでいたので、渋谷かどっかで字幕版を観たのかも。記憶力が年々どんどん悪くなっていくので、この辺は過去にメモでも取ってないと正確なところは分からないのであった。

■閑話休題。前作ではいなくなった息子・ニモを探しに父親のマーリンが友人・ドリーと一緒にニモを探し当てるというのが大まかなストーリー。ドリーは強烈な健忘症で時折イラッとくることはあるが、ワイルドアイディアの持ち主でニモを探し当てるのに大いに役立った、というのを前作のあらすじを読んで思い出した。ボケ始めかオレ。今作では、ドリーが忘れていた両親の記憶が断片的に蘇り、それを頼りにマーリン&ニモ親子に協力を頼んで両親探しの旅に出る話。

■もちろんこの手の話はハッピーエンドと相場は決まっているので、両親を探す過程を楽しむのがこの映画の正しい見方かも。それにしても、13年も経っているので当たり前だけど、CGの技術進化には驚かされた。特にドリーの強い相棒になってくれる7本足のタコ・ハンクの動きにはびっくり。あと、ドリーの両親がいるらしいというのはアメリカ西海岸の水族館でその描写も楽しく、久々に水族館に行ってみたい気にもなった。ここ数年で行ったのは沖縄の『美ら海水族館』と旭川の『旭山動物園』(基本動物園だけど水族館的な展示もある)くらいなので。

■さすがにディズニー=ピクサーなのでよく出来ている話で楽しめた。ただ、やはり家族向けの映画かな。子供がいないオレなんかは『ズートピア』の方がしっくり来たけど、夏にお子さんと行くには最適の映画でしょう。

■そしてしぶしぶ観た吹替版だけど、水族館の館内案内が八代亜紀というところで大爆笑。ローカライズされたドリーの台詞の中にも「八代亜紀さん、助けてください」とかのところがあるし、挙句の果てにエンディングテーマ『Unforgetable』のローカル版まで八代亜紀が歌っている。これはアメリカ版ではシガニー・ウィーバーらしいんだけど、公開される国に応じてその国で有名な女性芸能人がアテレコをしているそうだ。映画を観た後で知ったんだけど、恐るべしディズニーの世界戦略。

■ただ、ドリーの吹替は室井滋だったのだが、これは聞くたびに室井滋の顔が浮かび上がってしまいちょっと違和感が。マーリンの木梨憲武はあまり気にならなかった。前作も同じキャストらしいので、やはり前作は字幕版で観たのだとひとり納得。

■改めて思ったけど、前作『Finding Nemo』を『ファインディング・ニモ』とそのまんまの邦題にした当時のスタッフは英断と言っていい。主な観客層である小学生に、Findの現在進行形のFindingというのはかなりハードルが高かっただろうし、小学生の頃のオレならまず理解不可能だったろう(1970年代と2000年代を比較するなという話もあるとは思うが)。『ニモを探して』とかのベタな邦題にならなくて本当に良かった。そしたら今作もその並びになってたはずだしね。

シング・ストリート 未来へのうた [映画]

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■2016/07/9鑑賞@チネチッタ。今年83本目の洋画43本目。

■ジョン・カーニー監督の前作『はじまりのうた』はすごく良かったので、同日公開のID4の続編はガン無視してこの映画を観た。音楽映画はハマれば人をハッピーにしてくれる効果があるもんね。

■この映画も役者さんを全く知らないので無記名で行きます。1985年の不況のアイルランドダブリン。無職になった父親の収入が理由で、今まで通っていた私立の中学校から公立のヤンキー校に転校させられたコナー。イジメには遭うし、校長の理不尽な処罰にも耐えている。だが、街で見かけた年上の美少女ラフィナに一目惚れして、「オレはバンドをやってるからPVのモデルになって!」と話しその後バンド結成に急遽動く。校内の友人をかき集めたコナーは、大学を中退したニートの兄・ブレンダンの音楽知識のヘルプを得て、曲制作に乗り出す。ラフィナでPVを撮ったが、ラフィナは彼氏に連れられロンドンに行くことになっていて。

■話は結構無理筋です。しかしカーニー監督、音楽の力をたいへん心得ていらっしゃる。85年当時のデュラン・デュラン、クラッシュ、A-ha、ホール&オーツとかを効果的に引用し、コナーが作ったバンド「シング・ストリート」のオリジナル曲が彼らのベタコピーに近いというところまでの再現に涙いたしました。

■エンディングは結構バカだし、ムリヤリだけど大変楽しい映画でした、一度アイルランドにも行ってみたい。特に85年当時に22歳だった若者には結構涙モノでした。やっぱ、音楽には力があると思いたい今日この頃です。

■でもね、前作の『はじまりのうた』が小ヒットしたからって、『未来へのうた』をサブタイトルに付けるのってどうよ。確かに作品の内容的にはズレてないけど、もうダサいサブタイ付けるの止めようよ。

ふきげんな過去 [映画]

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■2016/7/3鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年82本目の邦画40本目。

■本作の監督の前田司郎さんは、劇団『五反田団』の主宰で基本的には劇作家の方。知人は好きな方もいらっしゃるようだが、浅学につき舞台は未見。監督映画も二作目らしいけど、最初の作品『ジ・エクストリーム・スキヤキ』も未見です。ただ、共同脚本を担当した沖田修一監督作品『横道世之介』は観たし、それはとてもとてもいい映画でした。その年の邦画ベストアクトと言ってもいいくらい。しかし前田さんがどこまで関わったかは分からないので、前置き長すぎですがまあ白紙の状態で臨んだ訳です。

■北品川の豆料理店で暮らす女子高生・果子(二階堂ふみ)。祖母サチ(梅沢昌代)と父タイチ(板尾創路)と母サトエ(兵藤公美)と、ぱっとしない日常をやり過ごしている。そこに突然、18年前に亡くなったはずの伯母・未来子(小泉今日子)がふらっと現れる。警察に指名手配されていたとか、爆弾を作っていたとかの不穏な噂の未来子のマイペースに果子は巻き込まれてしまう。そこに、時々喫茶店で見かける男・康則(高良健吾)が未来子を匿っていたらしいとの噂を知り。

■久々にでもないけど厳しい感想を書きます。映像描写に優れているわけでもないし、ストーリーが素晴らしいわけでもない。出演陣の感情の行き来をなぞっているだけの映画なので、観ている方にはストレスが溜まる。爆弾作ってたとかいったいいつの時代の話だよ。小泉今日子や二階堂ふみの熱演も空回りしている。この映画、戯曲の映画化でもないみたいだし、役者の感情のやり取りが目的なら、これは舞台というパッケージでやるべきではなかったのか。映画にすべき企画ではなかったですね。

■朝ドラ『とと姉ちゃん』の妹・鞠子役の相楽樹が出ていたのは和んだ。これからも頑張ってください。ただ映画の出来にはまったく納得していないので、リベンジで「五反田団」の舞台を観ようとも思うが、チケット取れるのか。

帰ってきたヒトラー [映画]

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■2016/7/3鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年81本目の洋画42本目。

■ちょっと興味があったので。ドイツ映画で登場する俳優さんは全員知らないので、役者名は全省略する。歴史上では第二次大戦中のベルリン陥落直前に自殺を図ったアドルフ・ヒトラーだが、気が付くとなぜか現代のベルリンにタイムスリップしていた。周りの人間は、ヒトラーを単なるモノマネ男としか見ていない。TV局をクビになったばかりのディレクター・ザヴァツキは、偶然撮影したビデオの中からヒトラーを発見し、ネタになると思いクビになったTV局に再度売り込みをかける。ヒトラーそっくりの風貌(本人だからね)と舌鋒鋭い弁舌でTV局のレギュラーコメンテーターになったヒトラーは人気を博していく。一方、現状のドイツに対しての国民の不満をしり、かつネットの使い方を覚えたヒトラーは、現代社会でのナチス・ドイツの復興を目論むが。

■第二次大戦中のナチス・ドイツの振る舞いに、国家として徹底的に反省の意を表しているドイツだから作れた映画だと思うし、そこは敬意を表したい。こういうふうに政治を風刺した映画って絶対日本では作れないと思うし。映画を通じての追体験になるけど、現状の国民が抱いている不満(移民問題とか)に対して弁舌さわやかに解決策のようなもの(あくまで)を提示するヒトラーの手法は流石だと思うし、ドイツ国民が騙されたのも何となく分かる気もする。この映画が制作されたのは2014年で、もちろんBrexitが明確になる前の話なので、日本を含めて世界中がきな臭い状態になっている現在、観ておいて損はない映画かとは思います。ただ映画の完成度ととしては何かちょっと足りないという感じでしたので、あまり評価できません。

■しかし、とある国の総理大臣がヒトラーのようには弁舌が上手でないので少しほっとしました。本人は上手に騙し仰せているつもりかも知れないけどね。

海すずめ [映画]

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■2016/7/3鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年80本目の邦画39本目。

■武田梨奈は基本的にはアクション女優の人だし、最初に観たのは金子修介監督の『少女は異世界で戦った』なんだけど、最近は『ワカコ酒』などの深夜酒ドラマでもいい感じを出してる。その人が故郷・愛媛県を舞台にした映画に出るということなので観ようと思っていた。ただ、故郷と言ってもオレは今治市で、この映画の舞台は愛媛の南端の宇和島市なので、実は2回くらいしか行ったことがない。愛媛県は狭いくせに細長い県なので、今治出身者はだいたいそんなもんだろうと勝手に思っている。共演の小林豊さんはまったく存じ上げず、「TBSのアナウンサーだっけ?」と思ってたくらいなので大変申し訳ございません。

■作家としてデビューしたものの、2作目が書けず失意のまま故郷・宇和島に戻り、市の図書館の自転車課で、不便なところへの本の配送に従事している赤松雀(武田梨奈)。同僚の岡崎(小林豊)は足を壊してリタイアした元ツーリスト。予算の厳しい図書館の中での自転車課は、つねに廃止の危機にさらされていた。そこへ市のイベント「宇和島伊達400年祭」に使う「お姫様の復刻衣装」の資料が見つからず、自転車課はチームを挙げて取り組むことになる。

■宇和島の情景は、昨年・一昨年と訪れていることもあり、よく描写されていると思う。ただ、ストーリーの無理矢理感がすごく痛い。今作の大森研一監督の作品は初見だし、愛媛県出身の方ということなんだけど、ご当地映画という制約の中であまり活躍できなかったかなと。

■以下、私事で申し訳ありません。四半世紀前にオレがシナリオライターの勉強をしていた頃、某先輩から、「熊本県人吉市発の地域ドラマの企画があるのでプロットを書いてみないか」という話をいただいた。それでGWに絡めて人吉に自腹(当たり前だ)でロケハンに行ってプロットを書いて出した。演出家の方にもそこそこの評価を頂いたらしいけど、結局企画自体がボツになって日の目をみなかった。でもまあ、今思い返してみるとストーリーが超とって付けで、人吉という地域にまったく根づいていなかった。大森監督が宇和島とどれだけ繋がりがあるのかは存じあげませんが、地元発の映画は本当に地元にいられる方か、大林宣彦監督のように、視野の外からのとんでもない発想がある方じゃないとなかなか難しい。

■映画としてはちとしんどいかなとも。まず、演技力云々ではなく、武田梨奈には小説家はミスキャスト。小説家というのはもっと鬱屈しているはずだと思うのは偏見かな。ただ、珠の母親役の岡田奈々さんを久々に拝見した。相変わらず『青春の坂道』の頃のようにお綺麗です。

■なお、映画には出てきませんが、宇和島の「鯛めし」(東予・中予と違い、鯛の刺身をご飯の上に乗せてだし汁と卵をかける)は大変美味しいので機会があれば是非。あと、この映画は宇和島市が出資してるが、現在宇和島市内には映画館はひとつもない。先にやることあるだろうがよ。

二重生活 [映画]

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■2016/7/2鑑賞@109シネマズ川崎。今年79本目の邦画38本目。

■門脇麦の単独初主演作。まあ、門脇マニアでもあるのも観た理由のひとつだが、原作が小池真理子というのも『無伴奏』に続いて。ベテランで多作で映像化作品も多い方だが、今年二本連続で映画が公開されているというのは、もしかしたら流行ってるのか。どちらもあまり公開館は多くはないが。

■しかしメインキャストが門脇麦の他、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキーと最近のこの手の映画の常連さんばかりであまり新鮮味はない。新人が出てくる芽はあまりないのかなとも。監督は初見の岸義幸さん。商業映画は初めてだそうだけど、紐解いてみると311後の女川を描いた、一色伸幸さん脚本の傑作ドラマ『ラジオ』の演出だったり、新井浩文がホストのBSフジの旅番組『美しき酒呑みたち』のメインPだったりする。しかもテレビマンユニオンの役員だったりして、同じくテレビマンユニオン出身でドキュメンタリー畑だった是枝裕和監督と似た匂いもあるかも。

■哲学専攻の大学院生・珠(門脇麦)はゲームデザイナーの卓也(菅田将暉)と同棲しているが、修士論文のテーマに悩んでいた。そこに担当教授の篠原(リリー・フランキー)から、接触のない他人の「哲学的尾行」を提案される。無理と思っていた珠は、偶然近隣に住む出版社の編集者・石坂(長谷川博己)の動向に興味を持つうちに、尾行にのめり込んでゆく。

■30年以上前の話で恐縮だけど、オレも文学部だったのだが、当時は哲学専攻で卒論・修論でフィールドワークをテーマにしていた学生はほぼいなかったような。もっとフィールドに接するべきだった社会学専攻のオレですら、過去の学者の論文の解釈という非常に安易な道に逃げてしまった。だってめんどくさかったんだもん。すいませんすいません。なのでちとリアリティに欠けるところはあるけど、現在ではそんなことないのかもね。

■閑話休題。珠の尾行は石坂の周辺に知られることになり、それによって石坂の置かれる環境にも影響が出る。最後は珠と石坂は直接対峙することになるが。

■ミステリなので以降は毎度のごとく書けませんが、前半は珠の尾行がバレるかバレないかというところでヒヤヒヤするし、ストーリーの牽引力はある。そしてR15+なので門脇様の濡れ場もまたある訳です。正体が掴みづらい女優さんということで門脇麦は多用されていると思うのだけど、ちと濡れ場専門的な扱いが多いのは気になります。先頃の『お迎えデス。』というドラマではかなりチャーミングだったし、実は朝ドラ『まれ』にも出てたし。ポテンシャルの高い女優さんなので大事に育てていただきたいと願う次第です。

■結末はやや消化不良だった。が、本筋には関係ないが、篠原(リリーさん)に依頼されて役割としての妻を演じていた西田尚美がすごく良かった。『ナヴィの恋』以来、魅了してくれる女優さんです。あと、現在超売出し中(『真田丸』にも出てる!)の岸井ゆきのが、珠と同じ大学院生で出てたところも見どころ。この人は事務所が強烈プッシュするようなタイプでもなさそうなので、単純に実力が評価されているのかなと。今後に注目。

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ [映画]

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■2016/7/2鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年78本目の邦画37本目。この映画の公開予定は今年の2/6の予定だったのだけど、たまたま同時期に長野でのスキーバス転落事故が起こったせいで、6/25まで延期された。直接の因果関係はないものの、遺族の方々には快くないという配慮だったのだろう。というより、正直言うと興収的に今は良くない、という判断だったような気もする。映画の内容を知るとバス転落事故の原因でさえ徹底的に茶化されてるので(何がどうかは観てのお楽しみ)、やむなしという気もするが、クドカン本人は結構落ち込んでいたらしい。

■クドカンの脚本はマジリスペクトというのは、このブログでもかなりな回数書いている。だけど監督作についてはあまりいい印象を持っていない。とは言うものの全作劇場で観ているのでオタクだな。前作は『中学生円山』だったのだが、今のところクドカン脚本作品で一番の人気で、現時点でもまだオレは史上最高の朝ドラだと思っている『あまちゃん』が当時は大ヒットしていたのに、興行的には結構惨敗に近い結果になった。ま、正直言って面白くなかったので。

■高校生・大助(神木隆之介)は、修学旅行中に想いを寄せているひろ美(森川葵)に告白しようとするが、乗っているバスが崖から転落して死亡し、本人には自覚がないのになぜか地獄に送られる。のちに大助が地獄に送られた理由も明かされるがこれがまた爆笑。そんなこと言われたらほぼ全員地獄行きじゃん。そこで出会ったのが赤鬼・キラーK(長瀬智也)。はい、日本が世界に誇るバカハンサムですね。キラーKから転生のチャンスがあることを教えられた大助は、地獄の特訓に耐えて転生を目指す。

■予告編で得られる情報はこの程度なので、大助が現世に復活してひろ美とのキスを目指すという結構ペラい物語だと思っていたのだけど、クドカンはここで仕掛けてきて、現世と地獄の時間軸は違うと言う点。地獄より現世のほうが時間の進行が早いので、何というか一大叙事詩になっている。すいません言い過ぎでした。

■しかしすごく面白い。キラーKの現世時代とか、キラーKの妻・なおみ(尾野真千子)とか。そして現世では大人になっているひろ美(宮沢りえ)の芝居もすごくいい。森川葵は鼻にホクロはなかったと思うのだけど、宮沢りえに似せるために付けてたのね。

■音楽的にも、70〜80年代のロックファンには恐らく垂涎だろう。オレはその時期は洋楽ロックをあまり聴いてなかったので(今もか)、ピンと来ない部分もあるのだけど。

■クドカンがやりたい放題やった作品で、クドカン監督作では現時点では最高傑作でしょう。なんだかスケールもでかいし。観終わった直後は、脚本のあまりの完成度の高さに、「リメイクや他の監督作で観てみたい」と感想を書いたけど、冷静になってみるとクドカンにしか撮れない映画かもね。

■キラーKのバンドメンバーのCOZY(桐谷健太)と邪子(清野菜名)も面白かった。桐谷健太は顔が濃いので分かったけど、清野菜名はあのメイクでは本人が演じてたとは、事前情報がなければ分からないかも。そこはお気の毒。

日本で一番悪い奴ら [映画]

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■2016/7/2鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年77本目の邦画36本目。『クリーピー 偽りの隣人』のエントリで書いた通り、入院していたので退院後初の約10日ぶりの映画。そっちの中毒のほうが心配だよ。

■本作の白石和彌監督の前作『凶悪』は本当に怖かった。緩みのない構成でギリギリと観客を追い詰めていくような感じ。今作とかぶる役者はピエール瀧だけなんだけど、『凶悪』で本当に恐ろしい役を演じたリリー・フランキーから主演の綾野剛は白石監督を紹介されたらしい。なんだか面白いね。綾野剛は前作『ロクヨン』で真面目な県警の広報担当をやっていたのだが、ちょっとピンと来なかった。この人にはこういうクレイジーな役が絶対似合うと思っていたので。

■この映画も恐ろしいことに実話ベースみたい。以前に何かで聞き知ってはいたけど、北海道警の、稲葉圭昭という元刑事の『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』という著書が元になってるようだ。もちろん映画化に関しては脚色はされてるだろうけど。

■大学時代、全国級の柔道選手だった諸星要一(綾野剛)はスカウトされるまま北海道警に就職し警察官になる。要領の悪い諸星はデスクワークを押し付けられて、なかなかうだつが上がらない。そこへ先輩刑事の村井(ピエール瀧)から、暴力団内にS(スパイ)を作る方法を教示され、愚直な諸星はススキノに顔を売って違法捜査にのめり込んでいく。そして拳銃の検挙率を上げるために、ヤクザの黒岩(中村獅童)と組み、ヤク中の太郎(YOUNG DICE)やパキスタン人のラシード(植野行雄)の協力を得て金銭で拳銃を買い、成果を上げ続けるが・・・。

■『凶悪』が本当に恐ろしかったのと違い、この映画では悪徳刑事に成り上がっていく綾野剛の描写が痛快で、少なくとも前半はピカレスク・ロマンの匂いさえ漂う。そもそも主題歌がスカパラという時点で、白石監督の狙いはその辺だったのかなとも思えるし。ネタバレは避けますが、後半、あることがきっかけで物事がうまく進まなくなり、仲間の絆も途切れて諸星は追い込まれる。

■綾野剛の渾身の演技は素晴らしい。諸星は愚直というよりむしろ踊らされたバカで、それを体現しているところに妙な色気を感じる。やっぱこの人には変な役が絶対似合ってる。

■大変面白い映画なんだけど、事実に基づいているせいもあるのか、映画の中では諸星を手駒として動かしていた北海道警の上層部の巨悪との対立が、まったく見えて来なかったのが構成的には残念。組織に使い捨てられた男の悲哀という意味合いもあるのだろうが。

■我々一般市民には、拳銃の摘発を金で処理していたことの真偽はわからないけど、少なくとも警察の交通違反の取り締まりにはノルマがある、ということは、警察は公式には絶対認めないけど、車やバイクを運転している人ならば、見えにくいところで取り締まっているとかで実感できると思う。なので北海道警の腐敗、いや全国の警察の腐敗も、あるとこにはあるんだろうな、と。

■しかし、この綾野剛のポスター、カッコいいなあ。

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