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オオカミ少女と黒王子 [映画]

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■2016/5/28鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年65本目の邦画30本目。

■八田鮎子さんという漫画家の同名漫画が原作(未読)なのだけど、主演の二階堂ふみはいわゆる「文芸映画」への出演が主なので意外な感じがしたのが観た理由のひとつ。あと、廣木隆一監督はベテランで、作品性の強い映画からアイドル系の映画までこなすオールマイティな監督なので、面白いかもと。

■二階堂ふみは、この手の映画には出ない女優さんだと勝手に思っていたのだけど、今年になって、バラエティの『ぐるナイ』のレギュラーになったのも「知名度を上げたいから」と言っていたのでその一環かなとも思った。公開前の二階堂ふみのコメント、「ひとつのカルチャーになりつつある少女漫画原作の映画化に参加できることがうれしかった」っていうのも皮肉にも聞こえるし。

■まあいいや。高校一年生のエリカ(二階堂ふみ)は、入学時に友達になったモテ系の女子たちに合わせるために、恋愛経験ゼロなのに彼氏を捏造すべく、休日に渋谷で偶然遭遇したイケメン恭也(山崎賢人)を盗撮して友人たちに「彼氏」だと言うが実は恭也は同級生だった。そこでバレないためにエリカは恭也に頼み込み「彼氏のふりをしてほしい」と頼むが恭也はそれを意外にも受諾する。実は恭也はドSな「黒王子」だった。

■正直言って、予告編で映画全体が分かるような映画です。性格に難ありな男と純情な女子高生の恋愛という非常に単純な話。あまりひねりのないストーリーをちゃんと映画にした廣木隆一監督の力量はさすが、と言っていいのかな。

■映像は結構工夫されてると思う。ロングの映像が多かったりとかね。でも前述のように根幹のストーリーの要素が少なすぎる。そこをフォローしたのは、二階堂ふみの格別な演技力、そして親友役のさんちゃんこと門脇麦の演技力に支えられているところが大。山崎賢人は二階堂ふみと同い年で、ドラマ『熱海の捜査官』での共演経験もあるらしいけど、二階堂ふみと対峙するとその演技力の差は公開処刑に等しいかも。ま、ツンデレは誰が演じても同じような形になるので同情の余地はあります。

■ヒットはしてるようなので、二階堂ふみの認知度アップには功を奏してると思う。二階堂ふみが抜群の演技力なので、映画自体はともかく、二階堂ファンにはお薦めです。が、この潮流何とかならないかな、とも。


海よりもまだ深く [映画]

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■2016/5/27鑑賞@チネチッタ。レイトショーにて。今年64本目の邦画29本目。是枝裕和監督の作品は『海街diary』には深く痛み入ったが、『そして父になる』はそうでもなかった。詳細はリンクをお読みください。まあでも、観ようかなと。

■書いた後結構ネタバレがあるような気もしたので、それが嫌いな方はご遠慮いただければ幸いです。

■自称作家だが昔新人賞を獲っただけで、今やっている探偵の仕事は「取材」とうそぶいている良多(阿部寛)。別れた妻・響子(真木よう子)と息子の真悟(吉澤太陽)への養育費にもこと欠く現状だが見栄だけは一人前。留守中の母・淑子(樹木希林)の実家に入り金目のものを漁ったり、姉・千夏(小林聡美)に無心をしたり、挙句の果てに探偵業を悪用して恐喝して金を巻き上げるなど、クズ中のクズ。

■おそらく阿部寛の演技史上最低のクズ役だろう。ちなみに阿部寛が是枝監督作品で「良多」役をやるのは今回3回め。あと1回は福山雅治が『そして父になる』でやっている。是枝監督には「良多」という名前にさぞかしこだわりがあるのかとおもいきや、「語感がいいから」だってさ。

■話は良多をめぐる日常と、クライマックス(?)は台風の夜に淑子の団地に、響子や真悟とともに泊まらざるを得なくなるというところ。是枝監督の作品はストーリーにあまり抑揚がなく、だいたい会話劇と映像で展開するのが多い。原作モノの『海街diary』すらそうだったし。まあもともと原作漫画がそうだというのもあるのだけど。だから話が終わっても特には何も変わらない。良多と響子が復縁するわけでもなし。ちょっとネタバレすいません。

■劇中で、テレサ・テンの歌『別れの予感』が出てきたのはびっくり。わたくしテレサ・テンの歌で一番好きな曲で、昔はカラオケでも歌ってましたが、『海よりもまだ深く』のタイトルのネタがここだとは。

■あと、是枝監督は『海街diary』でも思ったけど、女優さんを輝かせる監督なのかなとも思った。真木よう子は最近の映画では一番キレイだし、樹木希林もチャーミング。大根仁監督同様スケベなのかもね。すいませんすいません。

■予想してた通り、是枝監督や主人公の良多(の年齢設定)と同世代のわたくしには非常にイタい映画でした。先に観た某先輩が仰っていた通り。わたくしは二択で言うと間違いなく「ダメ人間」の部類に入るので、観てて時々、というかかなり辛かった。でもわたくしと同世代でこの映画を観て、何らかの痛みを感じない人がいるとしたら、それは余程公明正大な人生を生きてこられた方かなと。

■20〜30代の人には実感してもらえないと思うのだけど、同世代の人は必見。どこがイタいかは映画でご確認ください。ただ、わたくし改めオレはもう1回観る勇気があるかと問われると微妙ですが。

■おまけ。『別れの予感』のリンク貼っときます。



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ディストラクション・ベイビーズ [映画]

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■2016/5/25鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年63本目の邦画28本目。本作の真利子哲也監督の作品は初見。そりゃそうで、商業映画デビュー作。でも大学の卒業制作の映画とかで評判になった方らしい。あと舞台が故郷の愛媛県(の松山)で、柳楽優弥・菅田将暉・小松菜奈などの不穏な雰囲気の俳優が出ているので観ることにした。たまたま公開時に愛媛に帰省してたのだが、地元松山では2館上映だったのだけど時間が合わず。帰京後現在の地元のTOHOシネマズ川崎で観ることにした。しかし全国のTOHOシネマズでこの映画を上映しているのは川崎だけ。川崎の編成担当に意図をちと聞いてみたい気もする。

■松山市内の港町・三津浜の造船所のプレハブに住む18歳の泰良(柳楽優弥)とその弟の高校生・将太(村上虹郎)。ケンカに明け暮れていた泰良は突然三津浜から姿を消す。しばらくして、松山市の繁華街でやたらに人にケンカを売る泰良の姿があった。それを目撃していた高校生・裕也(菅田将暉)は「おもしろいことしようや」と泰良に声を掛け、二人で市街で暴れ始める。同時期に将太は兄を探しに市街に来るが見つからず。二人は車を奪い同乗していたキャバ嬢の那奈(小松菜奈)を拉致し、市内近郊で暴力の限りを尽くし始める。

■メインキャストの柳楽優弥・菅田将暉・小松菜奈の持つ強い毒性をうまく使ったピッタリのキャスティング。泰良が暴力を振るう理由というのは全く説明されてない。せいぜい劇中では「親が早くに死んだ」程度なんだけど、それじゃ説明にならないし、劇中での泰良の台詞はほぼないので、衝動的に暴力を振るうのはほぼ動物とも思える。裕也は泰良の虎の威を借りて、女性や弱い者だけに暴力を振るい自分が認められないと癇癪を起こすという、ある意味泰良よりもゲス。那奈は被害者だけど全て自分のいいように取り繕う、これもまたゲス。小松菜奈は『バクマン。』(もちろんいい映画だけど)の清楚なヒロインよりもこういうダークな役の方が絶対ハマる。

■そして暴力シーンのリアリティ。一般的な例えばヤンキー映画だと、殴打する場合の効果音は「ドスッ」とかの重めの音が主流だと思うけど、この映画のそういうシーンの効果音は「ペチッ」とでもいうような音。プロは別にして、実際のケンカではこういう音が多いのでは。もちろんオレがケンカ慣れしているという訳では全くなくて、数少ない現場でのケンカ目撃体験とか、ドキュメンタリーを見た記憶に拠るんだけど。まあ、泰良が超人的にスタミナがあるというところだけはちょっとリアリティないけど。

■理由説明がほぼ省かれてるのに暴力の連鎖。でも全く飽きさせないストーリーは凄い。好き嫌いがすごくある映画だけど、今年の邦画の中でもかなり上位に位置する映画だと思う。お薦めです。残念ながら松山市のご当地映画になるような構成ではないけれども。真利子哲也監督の次回作も絶対観ます。楽しみ。

■ま、池松壮亮は出てるのに割合チョイ役だったのと、愛媛県民としては伊予弁がやや不自然だっとというところ、あとタイトルがカッコつけすぎ、というのが残念といえば残念。

■おまけ。本編には全く関係ないけど、現在放送中のドラマで、「毒があるけど意外といい奴」柳楽優弥が出てるドラマ『ゆとりですがなにか』は一推しに面白いです。

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ヒーローマニア 生活 [映画]

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■2016/5/18鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年62本目の邦画27本目。この映画がTOHOシネマズの「一ヶ月フリーパスポート」で観た最後の新作。複数回観たのも含めて今回は通算25本。前回は13本だったのでよくやったオレパチパチパチ。若干ゲップが出そうにもなったけど、「映画を観る」ということに加え「映画館で映画を観る」という行為の至福感を味わわせていただきました。

■原作は福満しげゆきさんという、メジャーとマイナーの中間にいらっしゃるような漫画家さんの『生活』という漫画。未読だけど、福満さんの『僕の小規模な生活』などの漫画は「モーニング」の連載で、以前結構楽しみにして読んでいた。「モーニング」連載の漫画家さんを「メジャーとマイナーの中間」って言うのも大変失礼で申し訳ありません。でも若い人はあまりご存じないかと。基本は日常のちまちましたことをエッセイ的に書くのが得意な方です。でも今作はストーリー物みたい。以前同様にゾンビのストーリー物を書かれていたが、テレ東の深夜ドラマがそれのパクリじゃないか?と噂になったこともあった。事実は存じませんが。

■勤めていた会社をクビになり、コンビニでバイトしているフリーターの中津(東出昌大)。コンビニでチンピラに絡まれ金を取られるが、その時コンビニにいた客の土志田(窪田正孝)を追っていくとチンピラを成敗する土志田を目撃し、感激して「俺と一緒に戦わないか?」と持ちかける。だが土志田は下着泥棒でもあった。悪人を成敗している途中、カナヅチの達人・日下(片岡鶴太郎)や、土志田が下着を盗んだ家の女子高生・カオリ(小松菜奈)が加わり、市中の悪を成敗する自警団(首吊り団)を結成する。そこに謎のホームレス(船越英一郎)が近づき。

■あまり期待せずに観たんだけど、結構面白かった。ただ話の流れに少しちぐはぐなところがあって、原作は未読なのでどうかなと思っていたら、かなり原作のコアな部分をカットしていたらしいとか。仕方ないのかな。でも、小松菜奈の演技は思いの外良かった。後半のミニスカは観客サービスなのかな? 窪田正孝はいつもの安定演技。しかし東出くんの棒読み芝居は相変わらずで・・・もっと妻と義父に芝居を教えてもらってください(すいませんすいません)。あと、南キャンのしずちゃんが怖かった。

■なのでまあ、興味のない方はスルーしていただいてよろしいかと。

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マクベス [映画]

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■2016/5/15鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年61本目の洋画35本目。通常ならばそんなに食指が動く作品ではありませんが、毎度の事情(省略)で観ることにいたしました。

■原作はシェイクスピアの「四大悲劇」と称される戯曲『マクベス』。

■11世紀のスコットランド。内戦が頻発し、スコットランド王・ダンカンは窮地に陥るが、それを救ったのは配下のグラミス領主・マクベス(マイケル・ファスベンダー)だった。マクベスと戦友のバンクォーは荒野で3人の魔女に会い、マクベスがスコットランド王になり、バンクォーの子孫がその後を継ぐだろうという予言を受ける。マクベスはその後より大きいコーダー領主に封じられるが、経緯を手紙で知った彼の妻(マリオン・コティヤール)は一計を案じる。

■マクベスは領地に訪問したダンカンを謀殺し、上手く取り繕ってスコットランド王に登り詰める。しかし周辺への不信感から畏友・バンクォーをも謀殺し、マクベスの足元は揺らぎ始める。

■以上、ほぼ原作に忠実にあらすじを辿ってみました。改めて確認すると、これ、「悲劇」ではなくて自分の欲望に忠実になりすぎた男の末路、って感じですね。おそらくスコットランドの各地でロケしたであろう映像は非常に重厚で、ロンドンには行ったことあるけどスコットランド未訪問のオレとしては少しそそられます。

■映像美は十分だけど話はちょっと退屈だったかな。映画ならではの斬新な切り口を作ろうと思いはしたのだろうけどちょっと不発。お好きな方はどうぞ。

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ヘイル、シーザー! [映画]

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■2016/5/15鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年60本目(!)の洋画34本目。

■コーエン兄弟の脚本・監督作品。タイトルからは古代ローマの将軍・シーザー(カエサル)を想起させてしまうが、そういう話ではない。1950年代、黄金期のハリウッド。「ヘイル・シーザー」という大作映画の撮影中に、主演のウィットロック(ジョージ・クルーニー)が何者かに誘拐されてしまう。並行して、恋多き人気若手女優モラン(スカーレット・ヨハンソン)の子供の認知問題、そしてちょっとバカな西部劇俳優・ホビー(アルデン・エーレンライン)が恋愛劇に出演する際の監督とのイザコザを、宣伝では「なんでも屋」と書かれてるが、たぶんプロデューサーであろうエディ(ジョシュ・ブローリン)がその問題を並行して解決に向けて奔走する話。

■全盛期のハリウッドを再現しているようでなかなか映像的には楽しい。キャストはなんだか豪華すぎるし。傲慢なモランや、バカ過ぎるホビーとかの見どころはたくさん。何より誘拐されたソ連系の団体に簡単に洗脳されてしまうウィットロックが面白すぎ。ジョージ・クルーニーはイカす中年なのだけど、シリアスな役よりこういうバカ系の方がしっくりくる。見た目で判断して申し訳ないけど、本人軽薄そうだもんね。スカヨハさんも最近の映画ではずっと素敵過ぎます。

■ただし、コーエン兄弟の振り切れ方がいまいち足りなかったようで、オレ的には期待したほど爆笑はできなかった。でもそれはたぶん好みの問題で、ハマる人が観れば楽しい映画だと思います。

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世界から猫が消えたなら [映画]

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■2016/5/14鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年59本目の邦画26本目。

■『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『バクマン。』など、数々のヒット作を生み出した東宝の若き(30代)プロデューサー・川村元気氏の同名小説が原作の映画。川村さんプロデュースの映画には好きな作品が多い。ただし、年初くらいからのTOHOシネマズでのこの映画の予告編ヘビーローテーションには少し辟易していたので、当初は観るつもりはなかったが、まあこれも一ヶ月フリーパスの期間内ということで(言い訳かよ)観ることにした。

■ひどく書きます。ファンの方はご遠慮願えればと。

■30歳の郵便配達員の「僕」(佐藤健)は、自転車で走っている途中に強烈な頭痛を感じ倒れる。診断の結果、手術もできない重度の脳腫瘍で余命いくばくもないと知らされる。途方に暮れる「僕」の許に、「僕」と同じ顔をした悪魔(佐藤健:二役)が現れ、自分が指定するものを世界から消せば余命は一日延びると告げる。最初は「電話」。電話が消える前に「僕」は偶然電話で知り合った昔の彼女(宮崎あおい)に会いに出かける。二つ目は「映画」。親友のツタヤ(濱田岳)に、「人生の最後に見るべき映画は何か」と「僕」は聞く。三つ目は「時計」、そして四つ目は「猫」。

■あらすじだけだとすごく面白そうな映画でしょう。正直オレもそこに騙されたところはある。原作では特定されていないが、舞台は主に函館、と言いつつも微妙に小樽の映像も混ぜている。北海道マニアを舐めてはいかんぜよ。しかも観光映画的でもない素敵な映像。また函館に行きたくなってしまうような。

■「僕」が映画好きで、ツタヤに「人生の最後に見るべき映画は何か」と聞くというところもいいし、「昔の彼女」が、現在は地元の名画座で住み込みで働いているという設定もグッとくる。そりゃ川村元気氏は映画愛に溢れているはずなので当然かもね。

■じゃあ良作と言っていいはずなんだけど、違和感がすごく残る。もともと、今作の監督のCMディレクターの永井聡さんの作品は、前作『ジャッジ!』を観て映画全体の構成力に不安を感じていた。個々のエピソードは面白いんだけどな、というところ。もちろんCMディレクターがどうのではない。(故)市川準監督など、CM出身で秀でた監督はいらっしゃるし。個々のパートは素晴らしいんだけど、全体としてはどうだろう。

■脚本はベテランの名手、かつ好きな脚本家の一人である岡田惠和さんだし、この原因はなんだろうと考え、鑑賞後に原作小説を読んでみたのだが、正直これはひどかった。マジで100万部売れたの?と疑ってしまう。

■一昔前のヒット作『世界の中心で、愛をさけぶ』を想起してしまった。あの話はドラマ→映画→原作小説と、一般的なルートとはオレは逆に推移したのだけど、よくもまあこれだけプアな原作小説を肉付けして立派な映像作品に仕立てあげたものだと、当時感心しました。

■この映画の原作小説はファンタジーに近いんだけど、まず本筋の構成力も文体もひどく、しかも猫が喋ったりとか結構デタラメ(そういうのが有効な小説ももちろんあるけど)。なぜこんな小説を映画化したのか。脚本の岡田惠和さんや監督が、さぞかし苦労されただろうというのは想像がつく。しかも出来の悪い映画なのに、主演陣の佐藤健・宮崎あおい・濱田岳などみんな熱演なんですよ。でも、映画としての全体の構成がまったく不完全。別に映画にメッセージを託す必要はないけれども、劇中の南米のシーンとかって必要なのかと(原作にはあるけどね)。

■いろいろもったいないけど、こういう映画は作るべきではないと思う。企画側のミス。「一番泣ける」というのを売りにする映画はだいたいろくなもんじゃないし、友人が「CMで試写会で泣いてる女性を多用するような映画はまず観ない」と言っていたのもなるほどという感じです。だいたい、ペット好きな人を劇場に呼び込もうというタイトルはひどい。この映画では猫は道具でしかないので。ヒットはしてるようだけど、この映画を「人生の最後に見るべき映画」に選べますか?

■おまけ。『桐島、部活やめるってよ』の原作で有名な直木賞作家の朝井リョウは、大学卒業後東宝に就職したらしく、これは先輩の川村元気Pのように映画プロデュースの道に進むのかと思ったら、昨年東宝を退社し作家専業になられたそうで。

■正解かもね。クリエイティブとプロデュースはたぶん似て非なるもの。川村さんは今後はプロデュースに専念していただきたい。すでに朝井さんは作家活動に専念されてるし。次の朝井さん作品の映画化『何者』楽しみにしてます。

■まあ確かに、人生最後の日は映画館で好きな映画を観ながら終えたい、とは思うのだけど。

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HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス [映画]

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■2016/5/14鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年58本目の邦画25本目。

■福田雄一監督の作品は『勇者ヨシヒコ』シリーズなど、テレビドラマは結構好きなほう。ただ、映画もたくさん撮っておられるが、どうも映画の二時間弱という尺の長さが、短距離ランナーっぽい福田監督の持ち味を損なうような気がして、オレは一本観ただけで止めてしまっていた。しかも何を観たか覚えてないという、大変失礼で申し訳ございません。

■ところが、この映画の前作『HK/変態仮面』は配信で見たのだけど、飽きることなくかなり面白かったのだ。前作は当初全国12館だけという超小規模な公開だったそうだけど、その後拡大公開されて結果的にスマッシュヒットになった。まあ、予算が足りなくて劇場パンフはできなかったらしいが(笑)。それを受けてということと、主演の鈴木亮平・ヒロインの清水富美加の知名度が前作公開時と比べてぐんと上がったということもあり続編制作に至ったらしい。

■あんど摩周の漫画が原作。知らない人のために前作も含めたさわりを。殉職した刑事の父親(池田成志)とSM嬢の母・魔喜(片瀬那奈)の息子の高校生・色丞狂介(鈴木亮平)。ある時狂介は、頭にパンティを被ると、父と母の血のせいか超人的な能力を発揮できる「変態仮面」に変身できることに気づく。自分は変態ではないと悩む狂介だが、愛する愛子(清水富美加)を守るために世界征服を企む敵・大金玉男(ムロツヨシ)に立ち向かいこれを倒す。

■しかし玉男は死んでいなかった。再度狂介に復讐するため、狂介が変身できないよう世界中のパンティを集めて消し去り、狂介の同級生・真琴正(柳楽優弥)を言いくるめ改造し、再び愛子を攫い変態仮面に立ち向かう。

■あらすじを読んでいただいても分かる通り、本当にバカバカしい。役の設定も、母・魔喜の片瀬那奈は鈴木亮平より実年齢は1歳だけ上というデタラメぶり。少年漫画が原作だから仕方ないけど、今女性の下穿き(この日本語もアレだが)を「パンティ」って日常会話で呼ぶ奴、男でも女でもそういないだろ?オレは少なくとも四半世紀は聞いてない。

■オープニングは『スパイダーマン』のパク、もといオマージュだし、劇中の変態仮面のアクションも、今回は特に『スパイダーマン』の2桁少ない予算で同じことをやろうとしてる感じ。

■そんなの面白いのか?と思われる方も多いと思うが、これがなかなかどうして面白いのです。珍しいことだけど、前作にも出てた安田顕(ヤスケン)が今回はまったく別の役で出てるし。女性受けはしないだろうなと思っていたのだが、劇場内では女性の笑い声も結構あった。でも女性同士ではなく、男性と一緒に来てみてたみたいだけど。そりゃそうか。

■福田雄一監督の徹底した下ネタ・ニッチ狙いには感動すら覚える。ただ『俺物語!!』『TOKYO TRIBE』など主演でのヒット作はあるもののバイプレイヤー中心で、このまま行くと代表作は『HK/変態仮面』シリーズになってしまうであろう鈴木亮平の心中やいかに。続編があるかどうかは知らないけど。

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殿、利息でござる! [映画]

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■2016/5/14鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年57本目の邦画24本目。

■以前『奇跡のリンゴ』のエントリでも書いたように、オレは中村義洋監督の映画が結構苦手。ただし観たことがあるのはそれと『アヒルと鴨のコインロッカー』の2作だけで、『ゴールデンスランバー』も『白ゆき姫殺人事件』も観ていない。とはいうものの苦手意識は根強くあったのだが、今回は一ヶ月フリーパスもあるし、ということで観ることにした。予告編を観る限りでは面白そうでもあったし。ま、予告編が必ずしもあてにはならないのは、皆様御存知の通りかと。

■『武士の家計簿』『武士の献立』『超高速!参勤交代』と、すっかり松竹の看板となった「江戸時代地方武士あるある実話」シリーズ。もちろんこんなシリーズ名はなくてオレが適当にでっち上げたものだし、『超高速!参勤交代』に至っては実話ですらない。でもこの系統の作品がいずれもヒットして、松竹が助かっているのもまた事実だろう。今作もその流れを汲んでいるし、原作は『武士の家計簿』と同じ磯田道史さん。これも実話ベースとか。

■江戸時代の仙台藩吉岡宿(今の黒川郡大和町。仙台には昔住んでたけど行ったことない)。もともと大した産業のない宿場町のうえ金欠の仙台藩が重税を課したため、近年町では破産と夜逃げが相次いでいた。それを憂える造り酒屋の十三郎(阿部サダヲ)は上訴しようとするが、茶師・篤平治(瑛太)が押し止める。酒の席で篤平治が「お上に大金を貸し、その利息と重税を相殺できれば」という適当なアイディアを話すが、それを真に受けた十三郎は乗り気でない篤平治を説き伏せ、肝煎・幾右衛門(寺脇康文)や大肝煎・仲内(千葉雄大)、飯屋の女将・とき(竹内結子)らを巻き込んで動き出す。離れたところで見ているのは、十三郎の弟で浅野屋の家督を継いでいる甚内(妻夫木聡)。

■これがダメな結果に終わるのなら映画にはならないので、まあ当然ハッピーエンドなのだが、そこに至るまでの十三郎たちの悪戦苦闘は映画でご確認いただきたい。時代物だし登場人物が多いので、その辺をテロップで処理するのはやむなしなんだけど、笑いもあり心温まるエピソードもあるし(泣けるぜ妻夫木!)、時代物なので年配の方も含めて楽しめる良い娯楽映画になっていると思う。

■敵役である仙台藩の財政担当の萱場(松田龍平)の鉄面皮ぶりにも笑えるが、何より仙台藩当主・重村を演じる羽生結弦が凄い。もともと重村が高い官位を望んだための付け届けが原因で藩の財政が苦しくなってる訳で、はっきり言ってしまえばバカ殿の役なんだけど、気圧されるぐらいの威圧感と品位はさすがオリンピック金メダリスト。仙台市出身ということもあって起用されたらしいけど、上手くハマったなあと。

■という訳で中村義洋監督を少し見直しました(えらそうに)。次回作は観てみることにします。

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64ーロクヨンー前編 [映画]

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■2016/5/7鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年56本目の邦画23本目。この映画は一ヶ月パスポートがなくてももちろん観てたと思います。主演の佐藤浩市を始めとして、誰もが主役を張れるくらいのオールスターキャストだし、前評判がすごくいい。かつ、原作は警察小説の名手、横山秀夫さんが病気療養後の復帰第一作。原作小説を読みたい気持ちを抑えて映画に臨んだ。

■昭和64年に群馬県で起きた幼女誘拐殺害事件、通称「ロクヨン」。未だ犯人は見つからず未解決事件で群馬県警の大きな傷になっている。当時捜査班に加わっていた県警の三上(佐藤浩市)は14年後の平成14年、現在は長年勤めた刑事から異動し、警務部所属の広報官。県警内での警務部と刑事部の争いにうんざりしている中、三上は上司の警務部長でキャリアの赤間(滝藤賢一)から、直近に迫った警察庁長官の視察のセッティングを命じられる。その中には「ロクヨン」の被害者の父・雨宮(永瀬正敏)に長官の訪問を受諾させることも含まれていた。一方、最近起きた主婦の老人ひき逃げ事件で、県警記者クラブの代表・秋川(瑛太)を始めとした面々と、被疑者の実名発表について揉めていた。

■雨宮の説得のための情報収集の過程で、非協力な昔の同僚に当たるうちに「ロクヨン」について何かの隠蔽事項があると思い立つ三上。三上自身も、妻・美那子(夏川結衣)との間の娘・あゆみ(芳根京子)が父親に似た自分の容貌を気にしたあげく失踪したという、暗い内面を抱えていた。

■登場人物がメチャクチャ多いので全部に触れると文章が終わってしまうので、詳細を知りたい方は公式サイトにアクセスしてください。三上が記者クラブとの合意点を見てすぐに、「ロクヨン」を模した誘拐事件が発生するところで前編は終わる。

■原作が警察小説なので仕方ないけど、話の流れが濃すぎるし登場人物の演技もいちいち濃い。佐藤浩市については皆様想像つくだろうけど、瑛太も濃いし、ひいては薄味塩顔の(サブキャップ役の)坂口健太郎まで濃い、とまではいかなくて、頑張ってるけどちょっとまだ濃くないかなと。

■疲れるけど見どころのある映画です。横山秀夫さんの原作では舞台は「D県警」なんだけど、横山さんは以前「上毛新聞」の記者だったので、そりゃまあ群馬県警ですね。話に全く緩みがない。これは後編はどうなるのかと期待させてしまう。ベテラン・瀬々利久監督の前作『ストレイヤーズ・クロニクル』も観てるけど、前作より全然いい、というのも失礼か。

■結末を知りたくて、映画鑑賞後原作を読んでしまった。もちろんネタバレはしませんが「ああ、そういうことか」という感じ。ただ、原作も上下巻なんだけど、映画では全体のエピソードの7割を前編で使ってる感じで、後編が薄くならないかとちと心配です。映画オリジナルの結末があるという触れ込みですが、たぶん大幅には変わらないと思うので、「あそこがああなるか」という妄想をしております。

■なおこの原作、映画化以前に昨年NHKでピエール瀧主演でドラマ化されてます。残念ながら未見ですが、知人友人で「ドラマと比較して観てしまった」という声が多数。確かに設定的には男前の佐藤浩市より微妙なピエール瀧の方が、芝居は別にして合ってるような気もするので、NHKオンデマンドで見るかどうか検討中です。

■濃くて疲れるけどお薦めです。初見の方はミステリなので前後編ともども原作もドラマ版も未読未見の方がよろしいかと。

■横山秀夫さんは元上毛新聞在籍とのことで、大学の同じ研究室で地元の上毛新聞に就職したN君は、在籍期間からして、面識があったのかも知れないので話を聞いてみたい気もするが、N君とは卒業以来会ってないので無理だな(笑)。

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