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書く女@世田谷パブリックシアター [舞台]

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■2016/1/21観劇。本年初舞台。昨年も二本しか観なかったので、今年もそう大して観ないような気もする。変な話、映画も真正面から観るとそこそこ疲れるが、舞台はもっと疲れる。もちろん演者の方の比ではないけどね。あとメジャーな舞台は料金が高い例が多い。でも今作は6,000円と良心的。

■黒木華が20代の女優の中で実力No.1であるということに、異を唱える人はそう多くないだろう。昨年から『小さいおうち』『ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判』『幕が上がる』『繕い裁つ人』『母と暮せば』と映画はほぼカバーしたし、ドラマ『天皇の料理番』には毎回泣かされた。そして今年の大河『真田丸』にも本日(1/24)の回から登場している。

■しかし、黒木華はもともと舞台の人である。舞台を一度観たいと思っていたのだが、年が明けてどこかの民放のバラエティを見ていたら、黒木華と木野花がこの舞台の番宣で出ていたので、チケットを探してみたら幸いにも初日のチケットを取ることができた。世田谷パブリックシアターは『ベッジ・パードン』で来て以来だからだいたい4年半ぶりくらいだが、相変わらず、行ったことのある首都圏の劇場では一番オシャレだと思う。

■番宣で樋口一葉の話ということは分かったのだが、作・演出の永井愛さんという方の舞台は初見。まあそれはオレが演劇素人というのを露呈しているだけのことで、著名な劇作家の方で、この舞台も再演らしく、初回の樋口一葉は寺島しのぶが演じたそうだ。

■樋口一葉といえば五千円札の人で、才気あふれる女流作家だったが結核のため若くして夭折した人、という程度の知識しかない。代表作『たけくらべ』はさわりの部分が口語訳で国語の教科書に載ってたのを読んだことがある程度。そう、彼女の小説は文語体なので、読めないわけではないが読むのに骨が折れるので放置していた。

■作家を志している樋口一葉(黒木華)とその母・たき(木野花)、妹・くに(朝倉あき)の一家は、父を早くに亡くしたために貧困にあえいでいる。一葉は、新聞や雑誌に掲載してもらうため売れっ子の新聞小説家・半井桃水(平岳大)に弟子入りする。同人誌に掲載された作品などで一葉の名声は上がっていくが、収入はついていかない。桃水との間にあらぬ噂を立てられた一葉は桃水の許を離れ、日銭を稼ぐために吉原の近くに転居して金物屋を始める。そこで見聞きした話から『たけくらべ』の着想を得る。と、おおむね史実通りの話らしい。

■流れとしては明るい話ではないのだが、要所要所で笑いが起こる。この作家さんの持ち味なのだろうが、おもしろおかしくて少し哀しい、のだ。黒木華は、ドラマや映画の中では、おおざっぱに言うと「和装の似合う昭和の控えめな女性」というイメージが強いが(『リーガルハイ』を除く!)、舞台では局面によってすごく多様な顔を見せる。大人しかったり恋する乙女だったり妖しかったりとか、その変幻自在ぶりには驚かされるばかりで、やはり舞台こそが黒木華の本領を発揮できる場所なんだろう。

■他の役者さんたちもいい。桃水役の平岳大(同じく『真田丸』に出ているが、武田勝頼役だったのでもう出番が終わってしまった:笑)のつかみどころのない芝居が面白いし、妹役の朝倉あきは『下町ロケット』で見たことくらいしかなかったのだけどなかなか魅力的。木野花は言わずもがな。劇伴は、林正樹さんというピアニストが実際に舞台上でライブ演奏をしていて、こちらもなかなか。知らない人だったけど、友人の話によると最近評判の方とか。

■お勧めだけど、世田谷パブリックシアター公演分はもう完売しているので、チケットのない人は当日券が少し出るようなのでそこに賭けてもらうしかない。頑張ってください。オレももう一回行きたいくらい。

■樋口一葉の小説はかなり奥深いものが多いようなので、青空文庫からダウンロードして、頑張って文語体を読んでみようと思う。

クリムゾン・ピーク [映画]

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■2016/1/11鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年2本目の洋画2本目。

■ギレルモ・デル・トロ監督は前作『パシフィック・リム』がどえらく面白かったので、その流れで観ることにした。でも前作がSFロボットアクションものだったのに、聞いたところだと今作はホラーらしい。実は怖がりなので基本的にはホラー映画は観ないのだが。内心は『パシフィック・リム2』早くやってくれよと思いつつ。

■20世紀初頭のNY。一代で財を成した父親カーターの娘、イーディス(ミア・ワシコウスカ)。作家志望だが世間知らずの温室育ち。だがイーディスは10歳の頃に母を亡くして後、幽霊が見えるようになった。ある時カーターの会社に出資を求めて訪れた英国人トーマス(トム・ヒドルストン)とその姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)。イーディスはトーマスに惹かれ始めるが、かねてからイーディスに好意を寄せていた医師・アラン(チャーリー・ハナム)はイーディスに注意を促す。カーターはトーマス姉弟にうさんくさいものを感じ出資は断り、手切れ金で娘の前から消えるように言う。

■しかしある日、カーターは洗面所で何者かに撲殺されてしまう。失意に暮れるイーディスはトーマスの慰めに応じてトーマスと結婚し、トーマスとルシールが住むイギリスの古い館に移り住む。しかしそこには何かが蠢いていた。

■書いてて途中でイヤになったのだけど、ダサいあらすじで大変申し訳ございません。もちろんネタバレはしませんが、ホラーなんて長年観ていなかったので、どうまとめていいかよく分からなかったのです。ただまあ、この映画はホラーではあるけれど、それよりもサスペンスですね。怖いは怖いし、残虐な表現があるのでR15+になってるけど。最後まで観るときちんと筋道が通ってます。

■キャスト。主演のミア・ワシコウスカは初見だけど、トム・ビルストンは『アベンジャーズ』のロキだし(悪そうな顔だ)、ジェシカ・ジャスティンは『インターステラー』の娘役でした。チャーリー・ハナムはデル・トロ監督の前作『パシフィック・リム』の主人公・ローリーなので、見覚えがあるといえばある。ただ舞台背景が全然違うので、多少認識に手間取ったけど。

■イーディスがあまりに世間知らずでバカ過ぎたりとか、脚本には結構難はあるけど、デル・トロ監督の、今回は鮮やかな色彩を多用した映像美はさすが。前作『パシフィック・リム』はロボット格闘ものだったので、映像には必然的に「汚し」の要素が入っていたのだけど、今作は徹底的に映像にこだわったというところは面白かった。

■ただ、日本ではあまり受けないような気も。それより何より『パシフィック・リム2』、是非お願いします。

ブリッジ・オブ・スパイ [映画]

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■2016/1/9鑑賞@チネチッタ。2週間くらい映画を観てなかったので、もちろん今年初鑑賞。今年1本目の洋画1本目。年末年始は多忙だったせいもあるけど、年明けに新作が公開されるまで観たい映画がさほどなかったという理由も大。それにしてもトム・ハンクス主演の映画は久しぶりに観る。

■1950年代でアメリカとソ連が冷戦時代が舞台の映画で、これも実話ベース。偶然なのかなんだろうか、最近公開の映画では米ソの冷戦時代を扱った映画が結構ある。『コードネーム U.N.C.L.E.』『完全なるチェックメイト』とかね。

■1957年、FBIに逮捕されたソ連のスパイ・アベル(マーク・ライランス)を事務所のトップから命じられた、本来は保険分野が専門の弁護士・ドノヴァン(トム・ハンクス)。専門外でもあり、スパイの弁護を引き受けることで世間が自分に向けられる目が厳しくなるのを予測していたドノヴァンは、当初断ろうとするが、祖国に忠誠を誓い情報は売らず、かつ真摯な性格のアベルに共感を抱くようになり、彼の弁護に積極的に関わってゆく。アベルの判決を死刑から禁錮刑への減刑に成功したドノヴァンは、同時期にソ連で撃墜された空軍パイロット・パワーズとの捕虜交換を政府から非公式に命じられた。捕虜交換はドノヴァンがアベルの減刑のため使ったロジックと偶然にも一致したため、ドノヴァンは断れず、捕虜交換交渉のため東ベルリンに乗り込む。

■ちとあらすじが長くなったけど、もちろん結末までは書きません。といっても史実なので落ち着くところに落ち着くのだけど。さすがベテラン・スピルバーグで演出にはほとんど隙がないし、重いトーンでの色彩設計もピッタリ。途中ドイツ語やロシア語での会話のシーンも出てくるのだが、そこには字幕は付記されない。アメリカの公開自体がそうだったんだろうが、会話がわからないまま事態が進んでいくというスリリングさの小技も効いている。あと『完全なるチェックメイト』では気になった、「ロシア」の発音が全部「ソ連」になっていた字幕は、今作では諜報戦を描いているせいもあるのか、字幕は全部「ソ連」だけど、場面によって元の台詞は「ロシア」や「ソビエト・ユニオン」だったりする。

■昔からのスピルバーグ映画のファンとしては、前作『リンカーン』と同じく、映画を観る時のワクドキ感がほとんど見られないのはやはり残念だけど。でも、アメリカ政府にあるかどうかは分からないが、この映画は少なからずハリウッドの良心の一部分を示していると思えた。過去の話なので俯瞰的に見れているせいもあるが、間違った愛国心は国を滅ぼしかねないということ。現在隣国を口汚く罵っているだけの人たちは、この映画を観てちょっと考えを改めてほしい。でも無理かな。

■「オスカー最有力」かどうかは正直分かりません。

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