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怒り [映画]

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■2016/9/17鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年98本目の邦画47本目。

■李相日監督の映画は好きで、『69〜sixty nine』や『フラガール』、『悪人』は劇場で観た。『許されざる者』はタイミングが合わずWOWOWで見たのだけど、面白かった。

■一方、原作の吉田修一の小説もかなり好きだ。昔は純文学系で芥川賞作家でもあるのだけど、最近の作品はややミステリ系に傾斜していると思う。吉田さんの小説は映像との親和性が高いせいか、かなりの作品が映像化(映画・ドラマ)されているが、ほとんどハズレがない。『悪人』『横道世之介』『さよなら渓谷』などなど。唯一の大ハズレは、フジのプロデューサーが換骨奪胎のような脚色をしてしまったクソドラマ『東京湾景』だけ。

■そんな吉田修一と李相日監督が『悪人』以来にタッグを組んだのが今作です。そりゃ観るでしょ。公開日が待ち遠しかったのは久しぶり。今年は邦画豊作の年だとは思うけど、あまり期待していなかった作品にビックリ、というのが多かったので。

■千葉の漁港の漁師・洋平(渡辺謙)は、三ヶ月前に家出して歌舞伎町の風俗店で働いていた娘・愛子(宮崎あおい)を見つけて千葉に連れ戻す。愛子の不在時に漁港で働き始めた男・田代(松山ケンイチ)を愛子は気にし始める。

■東京のエリートサラリーマン・優馬(妻夫木聡)はゲイ。ハッテン場で知り合った男・直人(綾野剛)を家に呼び、なんとなく暮らし始める。

■泉(広瀬すず)は母の都合で沖縄の離島に越してくるが、あまり馴染めていない。同級生の辰也(佐久本宝)にボートで連れて行ってもらった無人島で、一人暮らす男・田中(森山未來)と知り合い、時々島を訪れるようになる。

■同時期にテレビで、一年前に起こった八王子の夫婦殺人事件の犯人とされる山神一也のモンタージュ写真が公開される。整形して逃走しているようだが、その写真は田代・直人・田中のそれぞれに似ているようにも見えた。千葉・東京・沖縄で、彼らの周りの人々に動揺が広がる。

■このへんまでは事前に公開されているので、まあいいでしょ。ただしミステリなので、これ以降については書きません。オレは勇み足で鑑賞前についうっかり原作小説を読んでしまったのだけど、未読の人はぜひそのまま映画を観てください。上下巻の長編小説なので、エピソードを端折っているところはもちろんあるが、それは映画を観た後で確認していただきたい。小説も傑作です。以降は、俳優陣の演技と李監督の演出について書きます。

■渡辺謙は世界的俳優ということは言うまでもないけど、不安にかられる情けない漁師の役が妙にピッタリで、これは謙さんの演技力のたまものでしょう。他にも若手を含め芸達者の役者揃いで、妻夫木聡と綾野剛は本当に愛し合っているゲイに見えるし、松ケンも森山未來も言うことなし。洋平の姪・明日香役の池脇千鶴は出番は多くないがドハマりだし、捜査する刑事のピエール瀧と三浦貴大もいい。

■凄まじいのは宮崎あおい。何らかの知的障害を持つような描写なのだけど、自分の感情を上手にコントロールできないという演技に鬼気迫るものがあった。よくこんな役受けたなと思うけど、これは宮崎あおいの代表作のひとつになると思う。

■広瀬すずは、当たり前だけど他の役者陣とはキャリアが違いすぎるしどうしても劣ってしまう。滑舌の悪さも相変わらずだ。その広瀬すずに対し、スパルタで知られる李監督は、クランクイン時の最初のカットで50テイクテストをして、その間カメラは一回も廻さなかったそうだ(参照記事)。『悪人』では柄本明や樹木希林などの大御所俳優も音を上げそうになったという話もあったくらいのスパルタ監督だしね。広瀬はオーディションを受けたことを後悔し、いざとなれば(撮影のために取った)小型船舶免許で逃げてしまおうかと思ったとか。

■でもその結果の熱演もあり、非常にキツいシーンも含めてここ最近の広瀬すずの映画での使い方としては最高の効果だったと思う。本人はイヤかもしれないけど、厳しい監督にもっと鍛えてもらったほうが伸びるかなとも。

■でも若手で一番凄いと思ったのは、泉の同級生・辰也役の佐久本宝くん。彼もオーディションで選ばれたらしいけど、非常に重要な役だし、その演技に度肝を抜かれました、マジで。

■2時間20分強という尺の長い映画だけど、ゆるみなく進みまったく飽きさせない。熱量の高い映画だし、混沌とした現代日本の切り抜きでもあるので超お薦めです。たくさんの人に観て欲しいが、オレが行った初日は目視で7割程度の入り。妻夫木や松ケンなどの若手人気俳優や、アイドル的な人気の広瀬すずも出ているので、ダマされた若い人(すいません)がもっといるかなと思ったけど、観客の大部分はオレよりもさらに年配の方だった。たぶん謙さんが主演だから感動作とかと勘違いして来た人も結構いるのでは。でもこの映画を観て感じて欲しい層は20〜40代だと思うので、これは東宝さんの宣伝ミスかなとも。

■観ないと人生の数時間を損する映画だと思うので是非。オレなんかまだ9月なのに今年の邦画ベスト5はほぼ固まってしまったという感じです。

■あと書き損ねてたけど、坂本龍一の劇伴が最高。個人的には『レヴェナント』よりもいい。

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ここなつ

こんにちは。弊ブログにご訪問いただきありがとうございます。
私も本作、宮崎あおいが凄い!と思いました(勿論俳優さん達全員が素晴らしかったのですが)。
特に父渡辺謙に「愛子だから?」(だから信用できないの?だから幸せになれっこないって思っているの?)と問いかける部分に胸が塞がれました。
by ここなつ (2016-09-23 10:22) 

sochi

ここなつさん、TBあがとうございました。
宮崎あおいは圧巻です。たぶん彼女は今作で何かの映画賞を獲るのではないかと。
by sochi (2016-09-30 06:08) 

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