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シン・ゴジラ [映画]

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■2016/7/30鑑賞@109シネマズ川崎。色々迷った上で初見はIMAXで。今年87本目の邦画41本目。

■この映画については基本ベタ褒めで行きます。これも年末に困るかもしれませんが、現時点では今年の邦画No.1です。ただし表現的にはひどいことも書きますしネタバレもありますので、そのへんはご容赦頂ければと思います。そしてたぶん長文です。

■今作を観るのには迷いがあった。まず、今作の樋口真嗣監督の昨年の作品『進撃の巨人』2部作は世紀の駄作だったというのが大きい。庵野秀明総監督に関しては、新旧の『ヱヴァンゲリヲン』シリーズには絶対の信頼を置いているが、実は『ラブ&ポップ』『式日』『キューティーハニー』という実写作品はまったく未見だったので。でも、新『ヱヴァ』4部作も庵野秀明の役割は総監督だったので、『シン・ゴジラ』にも庵野監督の作家性は反映されてるはずだし、もしダメだったら貶せばいいやという感じで観ることにした。

■この映画も『スター・ウォーズ フォースの覚醒』なみに公開前にはストーリーは分からないと言う程にメディアには緘口令が敷かれたようだし、試写会もかなり少なかったらしい。でも蓋を開けてみれば、『ゴジラ』シリーズで何回も繰り返しているような、初回『ゴジラ』のリブート作品だった。なので2年前のハリウッド作品『GODZILLA』とは何の整合性もありません。東京湾に未確認大型生物が現れ、大田区の呑川から蒲田に上陸し破壊の限りを尽くしたあと、東京湾に退避し、再度巨大化して鎌倉から上陸して首都圏を攻める「ゴジラ」と、対峙する日本政府の話です。ああ簡単。

■まず映像が素晴らしくいい。日本映画でのゴジラは今まで着ぐるみだったけど、今回は初のフルCG。しかも動作は狂言師の野村萬斎のモーションキャプチャーであることが公開日に発表された。正直、狂言には詳しくないので、野村萬斎の所作がどれだけゴジラを印象強くしていたかは分からないのだけど。CGと、ミニチュアなどを効果的に使用した特撮との組み合わせはまったく齟齬がない。現時点で言うと日本の特撮の頂点だろう。樋口さん、お願いですからこれからは特撮に専念して。

■ストーリー的には、怪獣映画と言うよりポリティカル・サスペンスの映画です。もちろん前述の通りゴジラの映像には凄まじく迫力があるので、怪獣映画的な面もあるのですが、日本政府の対応会議シーンが面白いけど結構長い。子供連れで行くと、正直子供は途中で寝てしまう危険があります。なので、今作は全く大人向けのゴジラです。

■「ポリティカル・サスペンス」なので題材的にはかなりきわどい。ゴジラの出現は東日本大震災とそれに伴う福島原発事故を想起させるし、米軍や国連への協力要請は日米安保条約の境目を考えさせる。なので、映画公開後のコメントは「反核映画だ」「法律的におかしい」「自衛隊が協力しているので安倍政権に利用されているのではないか」「ゴジラが熱放射線を吐くシーンを見て福島の被災民はどう思うのか」などなど、右左乱れて悪い意味での百花繚乱の意見が噴出。以下は想像だけど、これだけ力技の脚本を書くのに、庵野総監督とスタッフはあらゆる可能性を想定して労力を掛けて裏取りはやっているはず。ジブリもそうだしね。その上で、好きに解釈しろと放り投げているはずです、絶対。だからこの映画を評価するのならイデオロギーではなくて「面白い」「つまらない」で語るべきです。

■役者と演出方法について。メインキャストは内閣官房副長官・矢口蘭童(長谷川博己)と、先輩格で現実的な判断をする総理大臣補佐官・赤坂秀樹(竹野内豊)、そして米国大統領特使の日系三世、カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)。長谷川と石原は樋口真嗣監督の前作『進撃の巨人』に続いてだけど、演技と存在感が全く違う。おそらくは、生身の人間を演出することにまったく興味がないであろう樋口真嗣監督から、庵野秀明総監督に代わっただけで俳優さんはこんなに輝くのかと驚愕。あと、総勢328人(+野村萬斎)というメチャ多いキャストなんだけど、カメオ出演に近いキャスト(前田敦子とか)もいれば、対策チーム「巨災対」のメンバーは登場時間も多い上に日本の脇役オールスターズです。市川実日子、高橋一生、津田寛治、野間口徹などなど。特にはぐれものの科学者役の映画監督・塚本晋也の存在感たるや。

■演出的には、登場人物や状況を明朝体(現在の明朝体より古い感じがする)のテロップで処理するところ(まあ329人だしね)や、人物の顔のアップが多く短いカットで頻繁に切り替わったり、登場人物がみんな早口で説明的な台詞で話が進むところとかは、現在の一般的な映画ではあまり好まれていない(少なくともオレは)と思うのだけど、この圧倒的な情報量に麻痺してしまうところが庵野流かなと。たぶん個々を立たせたくないのだろう。

■個人的な印象では、最初の総理大臣(大杉漣)の無能さと愚鈍そうに見えるが懐の深い総理大臣代理(平泉成)の対比と、市川実日子の実直さ、そして難しい役だし批判もあるらしいけど、それをクリアした上で庵野映画における「エロアイコン」の役割をきっちりこなした石原さとみを賞賛したい。

■書き忘れてた。劇伴がすごくいい。メインの劇伴は『ヱヴァンゲリヲン』と同じ鷺巣詩郎さんだけど、エヴァの戦闘シーンで使われている楽曲『DECISIVE BATTLE』(ティンパニから始まるやつ。この曲は本広克行監督の『踊る大捜査線』シリーズにも許諾をとった上で使われている)が今作の会議シーンでも頻繁に使われている。そして、元祖『ゴジラ』の伊福部昭さんの『ゴジラのテーマ』と、後半の戦闘シーンの『怪獣大戦争マーチ』がすごすぎる。伊福部さんが偉大な作曲家だったというのを確認しました。

■ああ、面白かった。実はこの映画、初回の土曜日(IMAX)から日曜日(2D)そして月曜日のレイトショー(MX4D)とすでに3回観てます。バカか。これからも観るかも。

■超オススメですが、お子様連れ(たぶん寝ます)や、『ヱヴァンゲリヲン』がダメだった人にはお薦めできません。庵野プロトコル満載ですので。庵野監督作品を一度も観たことがない方は、ダメ元でトライしてみてください。もっと倍くらい書きたいこと(ゴジラの造形とか列車爆弾とか)はありますが、現時点でかなりまとまりのないエントリになっているので、この辺にしておきます。

■おまけ1。ウチの割合近所の武蔵小杉駅周辺が破壊され、丸子橋が完全破壊されたのは近隣住民としては痛快だったのだけど、下丸子近辺の住民としては、ガス橋を破壊してキヤノン本社を倒壊させる方が楽しかったかも。すいません地元民のエゴです。

■おまけ2。映画の中での政府内では、アメリカを「米国」と常に呼んでいたのだけど、あれ本当ですか? 中の人か近い人教えてプリーズ。

■おまけ3。庵野秀明監督の前作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』だが、同作の初週の興収と比較すると、『シン・ゴジラ』は55.2%だってさ。知り合いはかなりの比率で観てるのに、恐るべしヱヴァンゲリヲン、というかアニメファン。

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コメント 2

non_0101

わっ、もうそんなにご覧になっていたのですね!
周りの観た人たちに聞いても、誰もが面白かったと言っていました。
私は以前の職場の場所が新橋だったので、新橋が登場した時は楽しかったです(^^ゞ

> 「米国」と常に呼んでいたのだけど
私の脳内では「某国」と聞こえていました(笑)
by non_0101 (2016-08-06 19:34) 

sochi

non_0101さん、コメントありがとうございます。
実は今日(日曜日)も観てしまって通算4回めです。バカですね。

しかし情報量が多いので、観れば観るほど解ける謎。たぶんこれからも行きそうです(笑)。
by sochi (2016-08-08 00:30) 

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