So-net無料ブログ作成
検索選択
前の10件 | -

ケンとカズ [映画]

img_top (1).jpg

■2016/8/21鑑賞@ユーロスペース。今年91本目の邦画43本目。

■この映画を観たのもベイマックス(仮)先輩のおかげというか。先輩は時々メッセンジャーで観るべき映画を教えてくれて、ヒット率は確かに高いのだけど、ミニシアター系の映画が多くて鑑賞難易度はすごく高い。なので実際に観れた映画は5割程度というところか。しかも今作に至ってはメッセンジャーでの2度推し。これは根負けして行くことにした。別にイヤイヤ行ってるわけではありませんが。

■ユーロスペースは『ぼっちゃん』を観て以来だから3年ぶり。ミニシアターあるある的に椅子が硬いとかはあるけど、映画好きな人たちが作ったんだろうなと思える感じのいい映画館。ただ場所がちょっとな。渋谷駅から結構歩くし、円山町とかのラブホテル街のど真ん中。行く途中にラブホテル街を通ると、ラブホに入っていくやる気満々のカップルとか、コトをなし終えてきたカップルとかを目撃してしまい妙に生々しい。自分が当事者ならばいいんだろうけど、おっさんはもうそういうところに行く年でもないので。円山町のラブホに行ったことがないとは言いませんが。

■閑話休題。千葉の小さな自動車工場で働くケン(カトウシンスケ)は高校の同級生カズ(毎熊克哉)を引き入れ、ヤクザの下請けで覚醒剤の密売に手を染める。日銭が廻ればいいと思っていたケンだが、認知症の母を抱えたカズは多くの収入を望んでいて、敵対組織と手を組もうとする。カズの暴走ぶりに、身重の恋人を抱えているので手を引こうと思っていたケンだったが。

■バイオレンス連発という映画としては、今年公開された『ディストラクション・ベイビーズ』の同じくくりなんだろうけど、『ディストラクション』は、主人公が暴力を振るう理由はあまり明らかにされてないし、何というかドライな映画でした。こちらはむしろ覚醒剤とかヤクザとか、かなり昭和的なウェットな映画でした。『ディストラクション』の真利子哲也監督は35歳、今作の小路紘史監督は30歳と世代的には逆な気もするけど、年齢と価値観の連携ってあまりないかも、と改めて思いました。

■大変面白い映画です。ただ殴打の際の効果音については『ディストラクション・ベイビーズ』のほうがリアリティあったかなと。どちらの映画がお好みかというのは個々人によると思います。

■少路監督はお若いのに映画の構成力がすごい。上映中ゆるみない映像を観させてくれたので、新人監督としては怖いですね。ただ鑑賞後、ベイマックス(仮)先輩に聞いたところによると、監督と話したところ撮了は2013年で、その後に編集期間が結構取れたらしい。

■これは観とけと言いたいですが、上映館がかなり少ない。ムーブメントで全国での上映館が広がることを祈ってます。

ニュースの真相 [映画]

220238 (1).jpg

■2016/8/20鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年90本目の洋画48本目。

■この映画、知人が試写を観て褒めていたので観る気まんまんだったのだけど、蓋を開けたら何と首都圏では2館での上映のみという鑑賞難易度の高さ。それでもめげずに今回観た2週間前に、日比谷のTOHOシネマズシャンテくんだり(ま、日比谷の人から言えばオレが住んでる大田区のほうが「くんだり」なんだろうけど)まで行って満員で振られたという苦い経験があったのだけど、根性見せて鴨居のTOHOシネマズららぽーと横浜まで来た。TOHOシネマズの変な編成(失礼)のおかげで辺境(また失礼)のシネコンでこういうマニアックな映画は空いている。

■この映画も実話ベース。2004年、ジョージ・W・ブッシュが再選を目指して大統領選に臨む直前の話。12年前というと結構昔な気もするけど、ブッシュJrは現職のオバマ大統領(来年の1月までは)の直前の大統領だったのだ。近過去だけど現代に地続きで繋がっている。

■実在の人物、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)の著作が原作。大手放送局CBSのプロデューサー・メアリーは、今までにも数々のスクープをモノにしてきた敏腕。看板報道番組「60ミニッツⅡ」のキャスターで伝説のジャーナリスト、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)と組んでいるが、相棒でありながら父娘のような間柄。そこにブッシュ大統領の若き日の軍歴詐称疑惑のネタが転がり込む。新たにチームを編成したメアリーは、緻密な取材を重ねて番組を完成して放送し、大反響を呼ぶが、証拠として取り上げた空軍内部のメモが偽造ではないかとブロガーたちから取り上げられ、他放送局からも追及される。一転して窮地に陥ったメアリーたちだが。

■ネタバレで申し訳ありませんが、『スポットライト 世紀のスクープ』のようにマスメディアが腐敗を暴いてあっぱれという話ではなくて、メアリーたちは敗北し、メアリーはCBSを解雇、ダンはキャスターの職を辞することになる。ブッシュ大統領が実際に軍歴詐称をしていたかどうかは映画の中では明示されてないし、間接的に政権側からの圧力を匂わせる描写はあるものの、明確には示されていない。そういう意味ではモヤモヤする人が多いとは思うが、観るべき映画のひとつではあります。

■ジャーナリストの仕事として怪しい証拠を採用するのは瑕疵だと思うけど、その裏で真実が隠されるのは問題だ。それに、自分の言葉に責任を持たないブロガーなどのネット世論で世の中が動いていったことは、現在ではさらに強烈なことになっている。

■あと、この映画を観て思い出したのが、この映画の舞台の2年後に起こった、当時野党であった民主党(この名称も当時)の永田議員が起こした「ホリエモン偽メール事件」。結果的には怪しいガセネタを提供する第三者からの情報を検証もせずに国会で提起した永田議員の責任と言えばそうなんだけど、彼はその後自死を選んだ。後味の悪い話でした。

■ま、政治の世界はやはり魑魅魍魎の棲家であまり覗き見たくないという気持ちを強くしましたが、この映画は観れれば観たほうがいいです。しかし前述の通りこの鑑賞難易度。もうちょっと何とかして欲しい。

■最後に、またまたハリウッドの懐深さを感じました。ちょい前の大統領(日本では首相)を題材にして映画って日本じゃ絶対撮れないもんね。やっぱ日本は自由度が低いと思うのですが。政府の規制なのか業界の自粛なのかは知りませんが。しかしレッドフォード、老けたなあ。

ジャングル・ブック [映画]

6c62bae4f38bd6a1 (1).jpg

■2016/8/11鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年89本目の洋画47本目。

■『ジャングル・ブック』自体は知っていたけど、昔のことなので記憶は曖昧。父を亡くしジャングルに置き去られた遺児・モーグリ(ニール・セディ)。黒豹バギーラに救われて以降、モーグリは狼社会のひとりとして育てられることになる。狼社会の長・バギーラと母親がわりのラクシャに育てられるが、ある時に人間に恨みを抱く虎、シア・カーンが現れモーグリの排除を狼社会に要請する。それを拒否した狼社会の長・パギーラはシア・カーンに殺され、人間社会に行く途中だったモーグリはそれを知り、ジャングルに戻りシア・カーンと対峙する。

■この映画はまあ子供向けなので、最初は観るつもりはなかったのだけど、監督がジョン・ファブローなので観ることにした。大ヒット映画『アイアンマン』の監督さんなんだけど、次作のオファーを断り自分のやりたい企画だった『シェフ 三つ星フードトラック始めました』を撮って、しかもそれが大変面白かったという。そしてその次作が大メジャーのディズニーという、一筋縄では行かない監督さんです。

■モーグリ以外の登場人物、というか動物はすべてCGらしい。背景のジャングルはどこまで実写かどうかは素人のオレは分からないのだけど、CG/VFXの進化には驚くばかり。今思うと『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』の、史上初のフルCGの登場人物、ジャージャー・ピングスがなんかお笑いに見えてしまう。時代が違うのでバカにしている訳ではございません。CGの進化には驚くばかりでした。

■もう夏も終わりつつありますが、お子様連れでも大人だけでも十分楽しめる映画だと思います。ただ個人的には生身の登場人物が多いほうがいいんですけど。あとこの映画、字幕版で観るのを強く薦めます。ベン・キングズレー、スカーレット・ヨハンソン、そしてクリストファー・ウォーケンの台詞が深く心に刻まれます。

■前から思ってるけど、子供向け洋画と言っても、字幕版の上映ももっと増やすべきかと。子供のヒアリングの勉強にもなるしね。効果は責任持てませんけど。


秘密 THE TOP SECRET [映画]

a43befb56fa36f74 (1).jpg

■2016/8/07鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年88本目の邦画42本目。ずっと注目している大友啓史監督作なので観ることにした。ジャニーズの生田斗真が主演なので、例によってネット上のポスターには主演なのに写ってません。もういい加減止めたらとまた思います。

■原作は清水玲子さんという方の同名漫画。もちろん未読。近未来の日本、死者の脳をスキャンすることによって犯人を突き止めるという捜査方法を使う警察庁の科捜研第九研究室、通称「第九」。そこの室長、薪剛(生田斗真)に評価され抜擢されたキャリア警察官・青木(岡田将生)が着任したところから話が始まる。世論の反対から第九は正式な組織としては認知されていなかった。しかも以前、薪は「第九」を創設した同僚・鈴木(松坂桃李)を失っていた。それは猟奇的殺人犯・貝沼(吉川晃司)の脳内をスキャンしたことがきっかけだった。そして、家族を殺した死刑囚・露口(椎名桔平)の脳をスキャンした結果、死んだはずの露口の娘・絹子(織田梨沙)の存在が浮かび上がる。

■さすがにミステリなので、ネタバレはしないようにこの辺で止めておきますが、強烈なビジュアライズとストーリー展開でそこそこ楽しめはした。ただ話の展開がちと強引すぎたような。「いろんなジャンルの映画を撮りたい」と言ってる大友監督なんだけど、基本的には活劇が向いているような。

■一番残念なのはキーになる絹子役の織田梨沙。新人さんらしいので仕方ないとは思うけど、芝居が下手すぎる。役柄的には同世代の二階堂ふみの方がピッタリハマったのではないかな。脱ぎがあるので、仮にオファーしてたとしても事務所が受けてたかは分かんないけど。大友監督は自らオーディションで織田梨沙を選んだらしいので賞賛してるが、この映画の一番の失敗でしょ。

■結果、初週の興収6位と大友監督らしからぬ結果になったみたい。しかしこの映画もSFではありながらシリアルキラーものなのでそれもやむなしかな。大友監督の次作『ミュージアム』もシリアルキラーものらしいのでちと心配。でも、興収云々より、シリアルキラーものが興収1位になったらそれはそれでヤバイと思うんだよね。

シン・ゴジラ [映画]

8d20998167f33bac (1).jpg

■2016/7/30鑑賞@109シネマズ川崎。色々迷った上で初見はIMAXで。今年87本目の邦画41本目。

■この映画については基本ベタ褒めで行きます。これも年末に困るかもしれませんが、現時点では今年の邦画No.1です。ただし表現的にはひどいことも書きますしネタバレもありますので、そのへんはご容赦頂ければと思います。そしてたぶん長文です。

■今作を観るのには迷いがあった。まず、今作の樋口真嗣監督の昨年の作品『進撃の巨人』2部作は世紀の駄作だったというのが大きい。庵野秀明総監督に関しては、新旧の『ヱヴァンゲリヲン』シリーズには絶対の信頼を置いているが、実は『ラブ&ポップ』『式日』『キューティーハニー』という実写作品はまったく未見だったので。でも、新『ヱヴァ』4部作も庵野秀明の役割は総監督だったので、『シン・ゴジラ』にも庵野監督の作家性は反映されてるはずだし、もしダメだったら貶せばいいやという感じで観ることにした。

■この映画も『スター・ウォーズ フォースの覚醒』なみに公開前にはストーリーは分からないと言う程にメディアには緘口令が敷かれたようだし、試写会もかなり少なかったらしい。でも蓋を開けてみれば、『ゴジラ』シリーズで何回も繰り返しているような、初回『ゴジラ』のリブート作品だった。なので2年前のハリウッド作品『GODZILLA』とは何の整合性もありません。東京湾に未確認大型生物が現れ、大田区の呑川から蒲田に上陸し破壊の限りを尽くしたあと、東京湾に退避し、再度巨大化して鎌倉から上陸して首都圏を攻める「ゴジラ」と、対峙する日本政府の話です。ああ簡単。

■まず映像が素晴らしくいい。日本映画でのゴジラは今まで着ぐるみだったけど、今回は初のフルCG。しかも動作は狂言師の野村萬斎のモーションキャプチャーであることが公開日に発表された。正直、狂言には詳しくないので、野村萬斎の所作がどれだけゴジラを印象強くしていたかは分からないのだけど。CGと、ミニチュアなどを効果的に使用した特撮との組み合わせはまったく齟齬がない。現時点で言うと日本の特撮の頂点だろう。樋口さん、お願いですからこれからは特撮に専念して。

■ストーリー的には、怪獣映画と言うよりポリティカル・サスペンスの映画です。もちろん前述の通りゴジラの映像には凄まじく迫力があるので、怪獣映画的な面もあるのですが、日本政府の対応会議シーンが面白いけど結構長い。子供連れで行くと、正直子供は途中で寝てしまう危険があります。なので、今作は全く大人向けのゴジラです。

■「ポリティカル・サスペンス」なので題材的にはかなりきわどい。ゴジラの出現は東日本大震災とそれに伴う福島原発事故を想起させるし、米軍や国連への協力要請は日米安保条約の境目を考えさせる。なので、映画公開後のコメントは「反核映画だ」「法律的におかしい」「自衛隊が協力しているので安倍政権に利用されているのではないか」「ゴジラが熱放射線を吐くシーンを見て福島の被災民はどう思うのか」などなど、右左乱れて悪い意味での百花繚乱の意見が噴出。以下は想像だけど、これだけ力技の脚本を書くのに、庵野総監督とスタッフはあらゆる可能性を想定して労力を掛けて裏取りはやっているはず。ジブリもそうだしね。その上で、好きに解釈しろと放り投げているはずです、絶対。だからこの映画を評価するのならイデオロギーではなくて「面白い」「つまらない」で語るべきです。

■役者と演出方法について。メインキャストは内閣官房副長官・矢口蘭童(長谷川博己)と、先輩格で現実的な判断をする総理大臣補佐官・赤坂秀樹(竹野内豊)、そして米国大統領特使の日系三世、カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)。長谷川と石原は樋口真嗣監督の前作『進撃の巨人』に続いてだけど、演技と存在感が全く違う。おそらくは、生身の人間を演出することにまったく興味がないであろう樋口真嗣監督から、庵野秀明総監督に代わっただけで俳優さんはこんなに輝くのかと驚愕。あと、総勢328人(+野村萬斎)というメチャ多いキャストなんだけど、カメオ出演に近いキャスト(前田敦子とか)もいれば、対策チーム「巨災対」のメンバーは登場時間も多い上に日本の脇役オールスターズです。市川実日子、高橋一生、津田寛治、野間口徹などなど。特にはぐれものの科学者役の映画監督・塚本晋也の存在感たるや。

■演出的には、登場人物や状況を明朝体(現在の明朝体より古い感じがする)のテロップで処理するところ(まあ329人だしね)や、人物の顔のアップが多く短いカットで頻繁に切り替わったり、登場人物がみんな早口で説明的な台詞で話が進むところとかは、現在の一般的な映画ではあまり好まれていない(少なくともオレは)と思うのだけど、この圧倒的な情報量に麻痺してしまうところが庵野流かなと。たぶん個々を立たせたくないのだろう。

■個人的な印象では、最初の総理大臣(大杉漣)の無能さと愚鈍そうに見えるが懐の深い総理大臣代理(平泉成)の対比と、市川実日子の実直さ、そして難しい役だし批判もあるらしいけど、それをクリアした上で庵野映画における「エロアイコン」の役割をきっちりこなした石原さとみを賞賛したい。

■書き忘れてた。劇伴がすごくいい。メインの劇伴は『ヱヴァンゲリヲン』と同じ鷺巣詩郎さんだけど、エヴァの戦闘シーンで使われている楽曲『DECISIVE BATTLE』(ティンパニから始まるやつ。この曲は本広克行監督の『踊る大捜査線』シリーズにも許諾をとった上で使われている)が今作の会議シーンでも頻繁に使われている。そして、元祖『ゴジラ』の伊福部昭さんの『ゴジラのテーマ』と、後半の戦闘シーンの『怪獣大戦争マーチ』がすごすぎる。伊福部さんが偉大な作曲家だったというのを確認しました。

■ああ、面白かった。実はこの映画、初回の土曜日(IMAX)から日曜日(2D)そして月曜日のレイトショー(MX4D)とすでに3回観てます。バカか。これからも観るかも。

■超オススメですが、お子様連れ(たぶん寝ます)や、『ヱヴァンゲリヲン』がダメだった人にはお薦めできません。庵野プロトコル満載ですので。庵野監督作品を一度も観たことがない方は、ダメ元でトライしてみてください。もっと倍くらい書きたいこと(ゴジラの造形とか列車爆弾とか)はありますが、現時点でかなりまとまりのないエントリになっているので、この辺にしておきます。

■おまけ1。ウチの割合近所の武蔵小杉駅周辺が破壊され、丸子橋が完全破壊されたのは近隣住民としては痛快だったのだけど、下丸子近辺の住民としては、ガス橋を破壊してキヤノン本社を倒壊させる方が楽しかったかも。すいません地元民のエゴです。

■おまけ2。映画の中での政府内では、アメリカを「米国」と常に呼んでいたのだけど、あれ本当ですか? 中の人か近い人教えてプリーズ。

■おまけ3。庵野秀明監督の前作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』だが、同作の初週の興収と比較すると、『シン・ゴジラ』は55.2%だってさ。知り合いはかなりの比率で観てるのに、恐るべしヱヴァンゲリヲン、というかアニメファン。

ヤング・アダルト・ニューヨーク [映画]

baf96d0a6c55dfd8 (1).jpg

■2016/7/23鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年86本目の洋画46本目。ベン・スティラーが主演で、オレが結構好きなアマンダ・セイフライド(この映画の公式表記ではアマンダ・サイフリッドなんだけど、この表記の方が好きなので)が出てるという事前情報しかなくて観ました。映画を観る際は主に映画情報を調べてから観るタイプではあるんですが、3割くらいは事前情報なしで印象で観たりする。この映画はNYを舞台にしたなんかアート系かほのぼの系という先入観で観ました。裏切られましたが。

■ブルックリンで暮らす44歳のドキュメンタリー監督のジョシュ(ベン・スティラー)は新作が停滞中で、アートスクールで講師のバイトなどもしている。妻のコーネリア(ナオミ・ワッツ)との間には子供はいない。まあくすぶってるし、コーネリアの父である著名なドキュメンタリー監督・ブライドバード(チャールズ・グローディン)の存在を重荷に感じている。

■ジョシュはアートスクールの講義を聴きに来たジェイミーに声を掛けられ、ジェイミーの妻ダービー(アマンダ・セイフライド)やコーネリアと夕食をともにしたことから仲良くなる。ジェイミーは最初誰だか分からなかったのだけど、「この顔が異常に長い男は見たことがある」と思って考え直したら、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のカイロ・レン(アダム・ドライバー)だったんですね。ジョシュのドキュメンタリー映画を好きだというジェイミーにうまいこと乗せられ、従来の同世代の子供がいる夫婦たちとは疎遠になり、ジェイミーの主宰するパーティとかに休日は積極的に参加するようになる。まあ当たり前だけど、ジェイミーには別の目論見があった。

■これもネタバレはしませんが、『海よりもまだ深く』と同じくらい中年男(オレなんか50過ぎてるから初老か)には別の角度で大変痛い映画です。若い連中に調子を合わせようとして奮闘するベン・スティラーがすごく痛い。あと戯画的に面白かったのは、ジョシュ世代は検索はスマホで音楽はCDなんだけど、ジェイミーはアナログレコードで情報は口コミとかね。微妙に現代の世相を反映してるような。オレは52歳ですがスマホ活用派だしね。

■「年寄りが若者の真似をしても成り立たない」という意味の強い映画だと思ったので、あまりお薦めはできかねます。エンディングも「そういうふうにすべきだ」という指標の映画だと思いますので。先入観で穏やかな映画だと思ったのですが違ったようです。お薦めはしませんが、観るなら若い人向きです。

■最後に邦題に文句。原題は『While we’re young』なんで別に翻訳する必要もないでしょう。それが邦題では横文字で全く違うタイトルっていったい何ですか。日本語に訳した上で別のタイトルを付けるのならまだしも、著作者をバカにしてんのか!と軽く怒りました。フリッパーズ・ギターの『恋とマシンガン』の英訳かよ!とツッコミしたいくらい。マニアックで申し訳ありません。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [映画]

poster2 (2).jpg

■2016/7/23鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年85本目の洋画45本目。

■オードリー・ヘップバーン&グレゴリー・ペックの傑作、『ローマの休日』はもちろん知っているし見たこともあるけど(TVで)、脚本家が誰かというところにまでは興味が行かず、この作品で人の名義を借りてアカデミー原案賞(今はもうありません)を受賞した男、ダルトン・トランボが主人公ということで食指が動いた。なぜかこの映画、オレがよく行く映画館ではあまり予告編をやってなかったらしく、予告編を見た記憶は曖昧です。

ハリウッドの売れっ子脚本家トランボ(ブライアン・クランストン)は第二次大戦中に米ソが手を組んでいた時代に共産党員になり、終戦後も映画に関わるスタッフの待遇向上のために活動していた。しかし戦後のアメリカは共産党系の排除が政府や世論の焦点となり、政府系の組織「下院非米活動委員会」がトランボや他の協力者を「ハリウッド・テン」と標的にして議会に呼び出す。いわゆる「赤狩り」。結果、トランボは投獄され、刑期を満了しても「アカ」というレッテルを貼られ仕事は来ない。

■名義貸しで書いた『ローマの休日』でアカデミー賞を受賞はしたが生活は苦しい。トランボは苦境を脱するため、B級映画製作会社「キング・ブラザーズ」の社長、フランク・キング(ジョン・グッドマン。『10 クローバーフィールド・レーン』の役と違って悪かろうとも筋が通っている:笑)に売り込み、安価で脚本を大量に書くようになり、手が足りないので「ハリウッド・テン」の仲間を引き入れる。しかしその一方で、もともと独善的なトランボはハードワークのあまり、家庭を顧みないようになり、妻・クレオ(ダイアン・レイン)や娘や息子に負担をかけてしまう。

■実話なので結末は大体想像できるのだけど、結局脚本家としての力量で敵を叩きのめすトランボが痛快で、最大の悪役として出てくる元女優のゴシップジャーナリスト、ヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン。本当に憎らしい:笑)に最終的に勝つところは、実話ながらすごくカタルシスを感じさせるので、映画としても大変楽しい。

■今年はまだ7ヶ月経つか経たないかなのに、「洋画ベスト5」を連発して年末大丈夫か感はあるけど、この映画も本当にお薦めです。上映館はそんなに多くないけど、特に映画好きの人はぜひ観てください。

■戦後のアメリカでの「赤狩り」は、ハリウッドで横行したのは知識として知っていた。かのチャップリンもしばらく映画を作れない時代もあったらしいし。同時に当時はアメリカの属国であった日本にも「レッド・パージ」という同様の動きがあった。しかしなんで日本ではアメリカでの通称が「赤狩り」で日本では横文字の「レッド・パージ」なのかは謎である(笑)。

■思想信条は個々の自由なのであまり言及はしませんが、現在の日本でも、現政権に反する意見を言うと「反日」「非国民」という声が局所的(と信じたい)に上がっている。でも、自由にものを言えない社会が一番恐ろしいと思うんですけど。

■そういう意味では、ハリウッドが気まぐれに見せる良心のようなもの、はいいなと思う。こういう映画もたぶん日本では作れないと思うし。

ファインディング・ドリー [映画]

poster2 (1).jpg

■2016/7/17鑑賞@109シネマズ川崎。今年84本目の洋画44本目。日本語吹替で観ました。ヒアリング能力の維持のために基本的に洋画は字幕で観ることにしているのだが、例によって子供対象の映画(特にアニメ)は都心でしか字幕版の上映がない。暑かったし面倒くさかったので近場の川崎で観ようと思ったら、案の定川崎のシネコン3つとも吹替上映。やむなし。

■前作『ファインディング・ニモ』から13年ぶりの続編。前作を観て面白かったのは覚えている。が今作を観て改めて感じた吹替版の印象の強さで、前作は字幕版で観たはずです。たぶん海外への航空機の往復どちらかの機内上映で観たのかと思ったが、確認のため古いパスポートを見てみると、『ニモ』の上映があった2003年には海外に行った記録がない。なので、当時は今より都心に近い武蔵小山に住んでいたので、渋谷かどっかで字幕版を観たのかも。記憶力が年々どんどん悪くなっていくので、この辺は過去にメモでも取ってないと正確なところは分からないのであった。

■閑話休題。前作ではいなくなった息子・ニモを探しに父親のマーリンが友人・ドリーと一緒にニモを探し当てるというのが大まかなストーリー。ドリーは強烈な健忘症で時折イラッとくることはあるが、ワイルドアイディアの持ち主でニモを探し当てるのに大いに役立った、というのを前作のあらすじを読んで思い出した。ボケ始めかオレ。今作では、ドリーが忘れていた両親の記憶が断片的に蘇り、それを頼りにマーリン&ニモ親子に協力を頼んで両親探しの旅に出る話。

■もちろんこの手の話はハッピーエンドと相場は決まっているので、両親を探す過程を楽しむのがこの映画の正しい見方かも。それにしても、13年も経っているので当たり前だけど、CGの技術進化には驚かされた。特にドリーの強い相棒になってくれる7本足のタコ・ハンクの動きにはびっくり。あと、ドリーの両親がいるらしいというのはアメリカ西海岸の水族館でその描写も楽しく、久々に水族館に行ってみたい気にもなった。ここ数年で行ったのは沖縄の『美ら海水族館』と旭川の『旭山動物園』(基本動物園だけど水族館的な展示もある)くらいなので。

■さすがにディズニー=ピクサーなのでよく出来ている話で楽しめた。ただ、やはり家族向けの映画かな。子供がいないオレなんかは『ズートピア』の方がしっくり来たけど、夏にお子さんと行くには最適の映画でしょう。

■そしてしぶしぶ観た吹替版だけど、水族館の館内案内が八代亜紀というところで大爆笑。ローカライズされたドリーの台詞の中にも「八代亜紀さん、助けてください」とかのところがあるし、挙句の果てにエンディングテーマ『Unforgetable』のローカル版まで八代亜紀が歌っている。これはアメリカ版ではシガニー・ウィーバーらしいんだけど、公開される国に応じてその国で有名な女性芸能人がアテレコをしているそうだ。映画を観た後で知ったんだけど、恐るべしディズニーの世界戦略。

■ただ、ドリーの吹替は室井滋だったのだが、これは聞くたびに室井滋の顔が浮かび上がってしまいちょっと違和感が。マーリンの木梨憲武はあまり気にならなかった。前作も同じキャストらしいので、やはり前作は字幕版で観たのだとひとり納得。

■改めて思ったけど、前作『Finding Nemo』を『ファインディング・ニモ』とそのまんまの邦題にした当時のスタッフは英断と言っていい。主な観客層である小学生に、Findの現在進行形のFindingというのはかなりハードルが高かっただろうし、小学生の頃のオレならまず理解不可能だったろう(1970年代と2000年代を比較するなという話もあるとは思うが)。『ニモを探して』とかのベタな邦題にならなくて本当に良かった。そしたら今作もその並びになってたはずだしね。

シング・ストリート 未来へのうた [映画]

142ae12d0a76d920 (1).jpg

■2016/07/9鑑賞@チネチッタ。今年83本目の洋画43本目。

■ジョン・カーニー監督の前作『はじまりのうた』はすごく良かったので、同日公開のID4の続編はガン無視してこの映画を観た。音楽映画はハマれば人をハッピーにしてくれる効果があるもんね。

■この映画も役者さんを全く知らないので無記名で行きます。1985年の不況のアイルランドダブリン。無職になった父親の収入が理由で、今まで通っていた私立の中学校から公立のヤンキー校に転校させられたコナー。イジメには遭うし、校長の理不尽な処罰にも耐えている。だが、街で見かけた年上の美少女ラフィナに一目惚れして、「オレはバンドをやってるからPVのモデルになって!」と話しその後バンド結成に急遽動く。校内の友人をかき集めたコナーは、大学を中退したニートの兄・ブレンダンの音楽知識のヘルプを得て、曲制作に乗り出す。ラフィナでPVを撮ったが、ラフィナは彼氏に連れられロンドンに行くことになっていて。

■話は結構無理筋です。しかしカーニー監督、音楽の力をたいへん心得ていらっしゃる。85年当時のデュラン・デュラン、クラッシュ、A-ha、ホール&オーツとかを効果的に引用し、コナーが作ったバンド「シング・ストリート」のオリジナル曲が彼らのベタコピーに近いというところまでの再現に涙いたしました。

■エンディングは結構バカだし、ムリヤリだけど大変楽しい映画でした、一度アイルランドにも行ってみたい。特に85年当時に22歳だった若者には結構涙モノでした。やっぱ、音楽には力があると思いたい今日この頃です。

■でもね、前作の『はじまりのうた』が小ヒットしたからって、『未来へのうた』をサブタイトルに付けるのってどうよ。確かに作品の内容的にはズレてないけど、もうダサいサブタイ付けるの止めようよ。

ふきげんな過去 [映画]

poster2 (2).jpg

■2016/7/3鑑賞@TOHOシネマズららぽーと横浜。今年82本目の邦画40本目。

■本作の監督の前田司郎さんは、劇団『五反田団』の主宰で基本的には劇作家の方。知人は好きな方もいらっしゃるようだが、浅学につき舞台は未見。監督映画も二作目らしいけど、最初の作品『ジ・エクストリーム・スキヤキ』も未見です。ただ、共同脚本を担当した沖田修一監督作品『横道世之介』は観たし、それはとてもとてもいい映画でした。その年の邦画ベストアクトと言ってもいいくらい。しかし前田さんがどこまで関わったかは分からないので、前置き長すぎですがまあ白紙の状態で臨んだ訳です。

■北品川の豆料理店で暮らす女子高生・果子(二階堂ふみ)。祖母サチ(梅沢昌代)と父タイチ(板尾創路)と母サトエ(兵藤公美)と、ぱっとしない日常をやり過ごしている。そこに突然、18年前に亡くなったはずの伯母・未来子(小泉今日子)がふらっと現れる。警察に指名手配されていたとか、爆弾を作っていたとかの不穏な噂の未来子のマイペースに果子は巻き込まれてしまう。そこに、時々喫茶店で見かける男・康則(高良健吾)が未来子を匿っていたらしいとの噂を知り。

■久々にでもないけど厳しい感想を書きます。映像描写に優れているわけでもないし、ストーリーが素晴らしいわけでもない。出演陣の感情の行き来をなぞっているだけの映画なので、観ている方にはストレスが溜まる。爆弾作ってたとかいったいいつの時代の話だよ。小泉今日子や二階堂ふみの熱演も空回りしている。この映画、戯曲の映画化でもないみたいだし、役者の感情のやり取りが目的なら、これは舞台というパッケージでやるべきではなかったのか。映画にすべき企画ではなかったですね。

■朝ドラ『とと姉ちゃん』の妹・鞠子役の相楽樹が出ていたのは和んだ。これからも頑張ってください。ただ映画の出来にはまったく納得していないので、リベンジで「五反田団」の舞台を観ようとも思うが、チケット取れるのか。

前の10件 | -
メッセージを送る